MADE IN JAPAN! 過去ログ

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1997/05/26 アメリカの馬鹿アジア人対応モード

朝9時に、ユナイテッド便でサンノゼを出発。飛行機は、ちょうど今、シェラネバダ山脈を超えようとしている。時折、ヨセミテの上空を飛行する時もあるのだが、今日は、飛行経路がちょっと北寄りのよう。ヨセミテは見えなかった。サンノゼ・シカゴ間は約4時間のフライト。偏西風の為、いつも西行きのほうが1時間近く早い。

シカゴに到着すると午後の4時。曇天で気温は55度(華氏ですよ)。やや肌寒い。でもなんか、やっぱり戻ってきたなあとほっとした気持ちになる。タクシーで、車を置いて出た会社の駐車場へと向かう。ここで、上司と後輩と別れ、自分の車で約10分のアパートへ戻る。2週間ぶりに自分のベッドに倒れ込むと、ぐったりと脱力。疲労がたまっているのが分かる。サンノゼから1800マイル、キロにすると3000キロ近い距離を半日で移動するのは、外国旅行と同じようなものだ。時差も2時間あるし。

しばらく、留守の間の郵便をチェックしていたが、クレジットカード勧誘のダイレクト・メールの多さにはうんざり。なんか、何もやる気がしないなあ。日記の更新も休むかなあなどど、弱気になる。別に仕事でもないし、更新休んだって、どうという事はないんだけれど。明日の仕事の方を休むか(笑)<大馬鹿者。

先週、色々と書いてきたように、西海岸で上司と後輩の2名を、仕事と遊び両面でアテンドをしていた訳だが、2人とも、あちこちの場面で、色々とやってはいけない事や、日本人特有の滑稽な失敗を連発するので、まあ、笑ってはいけないが、自分の赴任直後の当時を懐かしく思い出した。参考になるなあ(笑)後輩のほうは、4月に初めての海外赴任。こちらに来たばかりなので理解できるが、ロンドンに5年間駐在していた経験があり、こちらも1年になる上司が、こんなに常識ないのは驚き(笑)。まあ、もともと、あまり他人の話を聞かない田舎者で、厚顔無恥なところがあるからなあ。(追記:えーっと、私は彼が、福島出身だから田舎者と言っているのではなく、出身地に関係なく、人の意見を聞かない厚顔無恥な人間は田舎者だと総称している訳ですので、誤解なきよう(笑))イギリス駐在当時も、日本人の評判を落とすのに、せっせと、多大な貢献をしていたに違いない(笑)

アメリカ人は、皆、笑顔が素敵だ。きっと小さな頃から、訓練しているんだな。ほら、よく、ドキュメンタリーなんかで、アメリカ人の高校の卒業アルバムの写真なんて見ると、みんな素晴らしい笑顔で写っている。運転免許の写真だって、笑顔で写っている。だって、マウンテン・ビューのDMV(陸運局にあたる)では、試験に合格して、免許の写真を取る時に、係員が、「おめでとう。ほら笑って。」なんて言うんだから(笑)。シカゴで免許を切り替えた時は、そうは言わなかったけどね。

日本人はこの笑顔ってやつが苦手。航空会社のカウンターで、レストランで、ホテルの受け付けで、大抵、「Hello、How are you today, Sir?」と呼びかける係員は、大抵、皆、素晴らしい笑顔を向けている。そんな時、うちの上司のように、相手の挨拶にも答えずに、しかも顔も見ず、、たった一言、「 れざべーしょん! XXX!」(XXXは彼の名前。特に秘す。訴えられても困るし、はは。)なんて、福島なまりの(笑)へたっぴな発音で、一言だけぶっきらぼうに叫ばれたりすると、相手の笑顔が、スッと引く。態度が至って事務的になり、「英語分からな〜い馬鹿アジア人対応モード」 に切り替わったのが見てとれる。

接客に従事するアメリカ人の内には、初手からアジア人をそっけなく扱うのもいる事は事実だが、大部分はフランクで明るいアメリカ気質で、誰でも公平に扱おうと、前向きに努力している。だけれども、肝心の客の対応がこれ(笑)では、「また、変なのが来たよ。やれやれ」 なんて思われてもしょうがない。

だから、いろんな場面で、なるたけ彼を先頭に立たせないようにしているんだが、こんなのに限って、まあ、己を知らないと言うか、勇気があると言うか、ちょっと目を離すと、ひとりでどんどん先に行っちゃうんだよなあ。向こうの対応モードが切り替わった後で、続けてチェック・インしたり、料理を注文したりするほど、気まずい事はない。

あと、ちゃんとしたレストランで、バス・ボーイや、他のテーブルの給仕人を呼び止めて注文するのも止めてほしい。こちらでは、テーブル担当のサービス係は厳密に決まっていて、収入のほとんどを担当のテーブルからのチップで得ている。他のサービス係にものを頼むのは厳密にはルール違反。親切な人なら、担当を呼んできてくれるけれどね。

レストランと言えば(いやあ、どんどん思い出すなあ(笑))、彼が、案内を待たずにどんどん席に歩いていって、私が引き戻したり、入り口の案内係が、にこやかに前の客と予約について話している時に、(何を考えたか)割り込んでいって、得意の、「れざべーしょん! XXX!」 <これしか知らない(笑)と叫んだ時は忘れられないなあ。向こうの表情が、驚きで凍り付いて獣でも見るような顔をされた。実にまさに、その通りなんだけれど(笑)俺のいない時にやってくれっつーの。

また、ひとつ思い出したぞ(笑)。レストランで、最初にやってきたウエイターが、本日のシェフのお勧めについて説明しだした時の事。アメリカ人にとって、外のちょっといいレストランで食事するのは、一種のエンターテインメント。楽しみにきている訳だから、まわりのテーブルを見ても、皆、フムフムと真剣に聞いている。ソースや材料についても質問したり。客がお勧めを注文すると、ウエイターも、Good selection!とか、That is very delicious!とか言って、客の選択を誉めてウインクしたりなんかもする、要は、お互いにディナーを盛り上げて、最大限楽しもうとする、アメリカ人らしい、前向きな努力な訳だなあ。

で、そのレストランで、ウエイターがお約束のシェフの本日のお勧めについて笑顔満面で話し出した。うちの上司は大声で、「びあ!」 <こらこら、飲み物の注文取ってるんじゃないんだよ、今は! すると、それが、英語に聞こえなかったのか、ウエイターは、ちょっと驚いて、「I beg your pardon, Sir?」 と聞いた。すると上司は、もう一度大声で、「び〜あ!ね。」 <ね。って言うのは日本語だろう(笑)。ちょっとグーで殴りたくなったなあ。

ウエイターの顔から笑顔がスッと引き、凍りつくような慇懃な声で質問が返ってくる。「What kind of ”beer”do you want, Sir?」 ほらほら、対応モードが変わっちゃったじゃないか、もう。