今日は、うちの現地法人の社長が日本に帰任する日。日曜日だし、面倒臭いが、一応、オヘア空港までお見送りに行く。日本人駐在員はあらかた行くみたいだし、細かしい人だから、帰りの飛行機で、そう言えばあいつは来てなかったなあ、なんて思い出されてもヤだし、参加する事にした。サラリーマンはつらいなあ。国際線の出発カウンタで待っていると、先に社長の自宅に、荷物を取りに行った駐在員の車が表についたので、外に出る。今日はえらく蒸し暑い。トーラスワゴンにトランクが7つ、ゴルフバッグ1つ。都合8つもチェック・インとはすごい荷物量だ。いくらファーストとは言え追加料金を取られるんではないかな。バッグがこれまた重い。荷物を運ぶポーターが来たので、まかせて、カウンタまで荷台に載せて持っていってもらう。カウンタの横に並べてもらって、チップを払う。小さな金額だし、どうでもいいんだけど、偉い人の送迎なんてすると、こういうチップはいつも自腹だから、1ドル札を何枚も用意しておかないと。
社長夫妻のリムジンはまだ着かないが、見送りの駐在員は三々五々やってくる。日曜日だし、皆、奥さん、子ども連れだ。出発一時間前に到着。荷物と一緒にチェック・インしてもらって、その後皆と挨拶。アメリカ人の秘書のオバチャンも孫を連れて来ている。シカゴの国際線ロビーは、閑散としている。国際線の出発便は、UAやAAの場合自分のターミナルからだから、利用客は少ない。日曜シカゴ発だと、日本に月曜日着なので、今日のJAL便もあまり混雑してないようだ。
ゲート前の免税店で、ちょっと買い物すると言うので、その前で、全員で記念写真を取って、解散。まあ、仕事の上では色々あったけど、別に個人的なわだかまりがある訳ではない。お世話になりました、お元気でと、握手して、笑顔で別れた。
うちの会社は、本社の社長がアメリカに出張して来ても、一応、緊張してアテンドはするものの、それほど殿様のような扱いをする事はない。でもこの間、ある会計士に聞いた話だが、シカゴにある、日本の某銀行本店の社長が来た時なんて、駐在員の気のつかいようが凄いそうだ。なんでも、彼は、食事の後にメロンを食べるのが大好きだ、と言う事で、レストランの調理場に、特別に買ったメロンを冷やしておいてもらい、ひとりの駐在員が、社長と一緒に食事中の支店長の席が見えるところに待機している。
社長が食べおわった瞬間に、支店長が合図すると、その駐在員が、厨房で用意のメロンを持って、社長の席にスッ飛んで持ってゆく。まあ、その社長は御満悦なんでしょう。でないと、そんな事しないから。しかし、巨大日本企業のトップとして、そんな事をする為に、自分の部下がどれだけ無駄なチップや、時間を費やしているか、また自分自身の会社がその高級レストランに影で笑われているか、そんな想像さえできないとは、言葉がありませんな。
しかし、これも、日本企業だけの事ではなく、アメリカでも、保守的な大企業では同じようだ。昔、セールスマンからGM(General Motors)の副社長に上り詰めた、デロリアンという人が書いた、「晴れた日にはGMが見える」を読むと、GMでも同じように、社長が視察に行くときには、ホテルの部屋にフルーツ一杯の冷蔵庫を入れる為に、金を払ってドアを壊したとか、空港に全員駆けつけて出迎えるなんて、日常茶飯事だったそうだ。
アメリカで働いて分かる事だけれど、アメリカ人は自分の査定権を持っている、自分のボスには絶対服従だ。給料改定の時こそ、色々交渉はするが、日常の仕事で、まず逆らったりする事はない。むしろ日本の会社のほうが、上司に逆らう奴が多いと思う。一応、終身雇用だし。だから、たまに日本のTVのビデオをこっちで見ていて、ケント・ギルバートかなんかが、日曜日かなんかの番組で、「日本人は会社では上司にさからえないでしょ。アメリカでは、ちいさなころから、じぶんの意見いうの大切。だから、ぎろんしますからね」、などど紋切り型の意見をしたり顔で、関口宏に説教していると腹が立つ。ウソつけ(笑)。