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1997/09/29 ヒッチコック「映画術」とセーラームーン

本来ならば午前中出社予定だったのだが、ちょっとアパートの片づけのほうが進んでないので、(何しろ明日の午前中に荷物を取りに来る)引越し準備におおわらわ。ワンベッドルームと行ってもこっちのアパートは広いので、(だいたい80平米くらいあるんじゃないかな)、なかなか片づけが進まない。と言うより、いつか片づけようと考えて放置していたものが多いと言ったほうが正解かもしれない。いつかはこういう日が来ることは予想していたけどなあ。まあ自業自得と言うべきか。



しかし、引越しの準備で本を選別して箱詰めしていると、大部分は1回読んだらもういいやなんてのが多い。<いかに普段つまらん本を乱読しているかという証拠だな。いやいやトンデモ本とかも好きなもんで。しかし、日本から持ってきてまた持って帰る本もある。考えてみるとほんの少しだけど、学生時代からずっと持っていて、東京ーベイエリアーシカゴとはるばる旅をしてる本もある。そのうちの一冊は、フランスの映画監督フランソワ・トリュフォーが、ヒッチコックとの長時間に渡るインタビューを本にした「映画術」。版元の晶文社(だっけか、もう箱に詰めてしまったけど)は、他にもスタッズ・ターケルのインタビュー集「仕事」とか、色々面白い本を出している。

「映画術」は、大のヒッチコックファンだったトリュフォー監督が(そう言えばこの人ももう亡くなった)晩年のヒッチコックとのインタビューで、その全作品についての詳細な解説を本人から引き出しているもの。計算されつくした緻密なカット割りやカメラ・ワーク、脚本や音楽、音響、配役の細部に至るまでの実に緻密なこだわりが、ヒッチコックの真骨頂で、今でも他の追随を許さないものがある。ヒッチコック映画が何十年経った今でも化石恐竜になっていないのはそんなところに原因があるのかもしれない。映画的手法の全てがここにある、と言うのはトリュフォーの弁だが、確かに、あながち過言ではないかも。

やはり映画には、映画にしかない特有の文法あるいは表現技法や、また様々な技術手法もあって、ヒッチコックに限らず、誰か一人の監督の技法・手法を勉強すると、他の映画を見た時でも、いわゆる深か読みをする事が可能で、それも映画を見る楽しみのひとつのような気がする。そう言う意味では、年間100本近く映画を見ていた学生時代には、つねに座右に置いて非常に役立った本だった。今でも時折読み返す時がある。そういう映画の技術論的な面以外にも(実際にはSFXの発達によってスクリーンプロセス等、今では古典となってしまった技法も多いし)2人の映画人が純粋に映画への愛着を語る対談集としてもとても興味深い。


しかし、最近の日本映画はどうなんだろう。こちらでビデオが発売されてるのは、小津、溝口、黒沢くらいか。この間、「マルサの女」がタワーレコードに置いてあった。「Shall We Dance?」はこっちでも上映されたし。まあ商業ベースには乗ったとはいえないのだが。まあアメリカで商業ベースにのってる日本の映像といえばアニメだけか。


先日行ったチューリッヒのホテルで、まだ時差ボケが残っていたか、ずいぶん早く眼が覚めてTVをつけると、ドイツ語の放送。セーラームーンをやっていた。吹き替えでドイツ語でしゃべる。ついでミラノのホテルでTVを見ていると、今後はイタリア語のセーラームーンが。私はアニメはからっきし知識がないのでよく知らないけど、セーラームーンはアメリカでもやってるらしい。日本映画が進出する前に日本のTVアニメが世界を席捲。凄い。