MADE IN JAPAN! 過去ログ

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1997/09/30 マンデーナイト+「It is always nice to be home」

昨日のマンデーナイトはナイナーズが終始優勢に攻め込んで勝利。オフェンスラインも踏ん張ってキャロライナのサックを許さず。RBギャリソン・ハーストが141ヤードをマークしてラン攻撃の柱に。<だけどハーストって誰や? 知らんかったなあ。WRストークスもいいところで印象的な活躍。マートン・ハンクスがキャロライナのパス2つをもぎとって2INTしたのも大きい。もうすこしてあとひとつインターセプトするところだった。これで4勝1敗でNFC西地区の首位に。これでひとまず安心してアメリカを去る事ができるかも(笑)。しかし日本ではあんまり放送がないようなので、困ったな。

9時半に運送会社が荷物の引き取りに。日本人とメキシカンのコンビ。メキシカンの名前はもはやお約束のホセかと思ったら、チャーリーだって。しかしこのチャーリーもよく働くなあ。日本も麻薬や偽造テレカを売るばっかりのイラン人にはお引き取り願って、メキシカンに働きにきてもらったら社会の効率がもっとよくなると思うけどなあ。もちろん世界に厳然として存在する所得格差や貧困の根本的な解決にはならない事は分かっているが。ちょっとドアを開けたり手伝ってやるたびに、サンキュー、ミスター、サンキューとなかなか礼儀正しい働きものだ。頑張れよ、ホセ。<ホセやないって。

箱詰めしたのを持って行くのは簡単だったが、その他不要品の処分や、TVとソファのトランスファ等で以外に手間取り、すべての搬出が終わったのはお昼過ぎ。引越し作業を見ていたアパートのセキュリティーのメキシカンが、いらない物はなんでも欲しいと言うので、使えそうな物はベッドルームに置いておくことにした。分かってたら、もっと置いていってもよかったんだけど、もう捨てちゃった物も多いからなあ。なんでも持ってっていいよ。私にはもう不要な物だし。


ちょうど2年前に初めてやってきた時と同じ、なにひとつない部屋の床にポツンと座って、ガランとした室内を見回していると、この部屋で起こった色々な出来事を脈絡もなく思い出す。とうとうこれで宿無しだなあ。次にはどんな人間がこの部屋に入ってくるだろうか、私の前の住人はアメリカ人の老婦人だったようだ。引っ越してしばらくは、ソーシャルセキュリティオフィスから年金の連絡なんかの手紙が来てたっけ。次の住人は、送られてくるジャンクメールで、前の住人が日本人だったと気づくだろうか。

アメリカ人はとてもフランクで基本的に親切なのが多いから、異動が決まって以来、いつも聞かれる。「Are you happy to go back to Japan?」あるいは「So,Are you excited to go back to Japan?」。口座休止の為に電話した電力会社のオペレータさえ、日本に帰ると言うと同じ事を聞くものね。自由と希望を求めていまだに押し寄せる移民の群れに慣れた彼らにとって、アメリカを去って本国に帰ると言うと、ちょっと奇妙に響くのかもしれない。

その都度、何度繰り返した事だろう。「Yes, I am so excited. You know, it is always nice to be home.」あるいは単に「No place like home」。そのたびに彼らはちょっと安心したような声で、「それはよかった、よい旅を」、と言ってくれるのだが、本当に、機械的に微笑とともに繰り返したこの言葉が自分の本心だったろうか。

がらんどうのアパートの部屋で、何度も経験したような、奇妙に懐かしい、しかしたとえようのない空虚な気持ちをもてあましながら、ただずっと座り込んでいた。