月末で忙しかった他は、何の変哲もない一日。通勤時間を利用して、「HAL伝説」を読み進めているが、ちょっとこの本、重過ぎ。片手で持っていると肩が凝ってくる。映画、「2001年」に出てきたHALを引き合いに出して、現在のコンピュータがどこまで進んだかを検証しようと言う本だが、映画のエピソード部分も結構面白い。デイヴとHALがチェスをする場面では、全然有名ではないが、実在する棋譜が使われている、だとか、この時HALが駒の動きをいい間違えており、最後に機能不全になる伏線となってるのではないか、など、キューブリックの完璧主義がうかがえておもしろい。でもね、5040円なんて、もはや本の値段じゃないよね。
人間と話ができるコンピュータは、いまだ遠い夢だけど、チェスだけに限れば、この間、チェスの世界王者にビッグブルーが勝利した。でもあれはしゃべれないし、チェスしかできないからなあ。考えてみれば、本当にしゃべるコンピュータが必要かどうかも疑問だ。現代のジェット戦闘機は、飛行能力が高すぎて、フライ・バイ・ワイヤ・システム、つまり、人間の操縦入力を解析して補正するコンピュータなしでは満足に飛行できないらしい。こんなコンピュータは人間にしゃべる必要なんてない。「デイヴ、あなたの今行った左旋回の操縦は、適切ではないと思うのですが」なんてHALがしゃべりかけてる間に飛行機は墜落(笑)。ああ〜。
昨日読んだ週刊誌に、日本でも、英国生まれのコメディTV番組、「ミスター・ビーン」のビデオが大ブレイクなんて書いてあった。実は、この名前は、私もドイツに旅行した時に、S氏宅で聞いた事がある。7歳のはなちゃんが、私にしきりに「Mr. Horiuchiは、Mr. Bean知ってる?」と聞く。知らないと言うと、「え〜、アメリカでやってないのお〜。とっても面白いんだよ〜」としきりに賞賛する。確かにドイツでも大人気の番組で、鉄道の駅にもギョロ眼の「ミスター・ビーン」の大きな看板が出ていた。
アメリカでは全然見た事がなかったので、ヨーロッパだけで流行ってるのかと思ったら、日本に帰国するUA便の機内で映画の合間に上映された。しかしUAの機上でやってると言う事は、アメリカのTVでも放送してて、私が知らないだけか(笑)。中身はミスタービーンという英国の典型的中産階級の男が引き起こすドタバタや失敗談を、ほとんどパントマイムでつづるコメディ。確かに子どもでも十分楽しめる。
ただし、どうもアメリカのコメディに比べて、どう言えばいいのか、ちょっと、暗い、というか重い、雰囲気が。それがヨーロッパの空気と言われれば、確かにそうかもしれない。そしてドタバタも単純だけど、ちょっと残酷でブラックなところもある。アメリカ人は単純明快で明るいのが好きだから、放送したとしてもあんまり受けないような気がするなあ。