今月号の文藝春秋を読んでいると、「テレビは見ていた、98年名セリフ・ランキング」なんて記事があって、サッカーワールドカップの岡田監督が「岡ちゃん」と呼ばれる事に関して不快感をもらした際のセリフが取り上げられている。で、興味深かったのはそこで引用されている、代表を外される前の三浦カズ選手が、TVで岡田監督に関して語ったとされる発言だ。
「あの人もコーチの時とは違って偉くなったよなあ。合宿した温泉なんかで岡ちゃん、岡ちゃんって言って、岡田さんの頭蹴って遊んでたのにね」ま、こういう発言を読むと、フランス入り直前になって三浦選手を代表から外したのは、カズにバカにされっぱなしだった岡田コーチが、監督になって仕返ししたのではとの疑念がわいても当然かもなあ。
三浦カズも選手としての自分の才能と実績に天狗になってたのだろうけど、本当に問われるべきは、大学や実業団のコーチでもあるまいし、サッカーでメシを食ってたはずの「岡ちゃん」が、プロのコーチとして、自分と選手との間にどういう距離を取ろうとしてたかって事かもしれない。
プロスポーツの監督やコーチというのは、プレイに関する技術面での理解は最低限として、コーチング理論の勉強や、戦略・戦術に対する深い勉強と研鑚を積んでいるのが当たり前で、相手がどんな名選手であろうと、完全に自分の掌握下においてコントロールできて当然ではないだろうか。
別に選手に恐れられる必要はないだろうが、自分のコーチとしての仕事に誇りがあれば、選手から頭蹴られたりなんぞする必要なんてこれっぽっちも無いよなあ。
もっとも、よき兄貴分として、選手と一緒に遊んだり、酒飲んだり、頭蹴られたりするのが自分の指導スタイルだっていうのなら、監督になってからも、全員に「岡ちゃん」と呼ばせて同じようにやるのは本人の勝手だ。
しかし、本人が監督になってからのインタビューで、「中には「岡ちゃん」と呼んでる選手もいるでしょうが、聞こえないふりをしてます」とTVで述べていたのだから、やはり心中は嫌だったのだろう。まあ、監督になったとたんに態度豹変ってのも、なんだかな感じだけど、今度行く札幌では、選手に頭蹴られるような監督にならないようにしてほしいもんだ。