昨日うっかり書き忘れた事から始めとこう。
土曜日の夜のNHKで、「演劇革命 アクターズ・スタジオ」という番組を放送していた。この話の中心人物、リー・ストラスバーグは、東欧生まれのアメリカ移民。モスクワ芸術座のスタニスラフスキーが提唱した演技論に傾倒して、1940年代、ニューヨークの「Actor's Studio」の芸術監督に就任し、俳優を集めたワークショップを開催し、数々の名優を育てた人物だ。
演技によって、「リアリティを創造する」事を目指し、与えられた役を分析し、役柄になりきって、自らの内面の奥深くからその場に応じた感情の記憶を呼び起こして演じる、というリアリズム演技理論を提唱した。
この手法は、"The Method"(メソード演技)と呼ばれ、その教え子から、ジェームス・ディーン、マーロン・ブランド、ポール・ニューマン、ロバート・デニーロ、クリストファー・ウォーケン、アル・パチーノなどなど、綺羅星のごとく映画史上に残る名優が誕生する。
数々の名優を育て上げた名伯楽、ストラスバーグ自身は、演劇に傾斜してハリウッド映画を嫌っていたのだが、皮肉なことにその教え子達は、次々にハリウッドに招かれ、銀幕の大スターになって行ったのだった。
映画を毛嫌いしていたストラスバーグも、晩年には、教え子の誘いに応じて、「ゴッドファーザー・パート2」に自ら出演。単なる老人のようでいて、実は老獪で暗黒の凄みを感じさせるユダヤ・マフィアの老ボス役を演じて、観客をうならせた。アカデミー助演男優賞にもこの一作でノミネートされたが、実際にこの年の助演賞を獲得したのは教え子のデニーロだったのですな。
で、土曜日にそんな番組を見た後、日曜日の朝に、たまたま SkyPerfecTVの番組表を見てたら、スターチャンネル3で、ゴッドファーザーをパート1から3まで一気に放映する予定を見つけた。
なんたる偶然。これは是非とも、パート2のストラスバーグの演技を絶対に見直そうと思ってたのに、ゴルフの練習に行ったらスッカラカンに忘れてしまい、あわててチャンネルを合わせたのはパート2の終盤。結局、ストラスバーグの演技を見落としてしまった。
とまあ、そういう事を昨日書きたかったんだなあ、私は。<だったら昨日書いとけって。<しかも前置きが長すぎるっちゅうに。
しかし、今になって考えてみると、コッポラの「ゴッドファーザー」シリーズってのは、マーロン・ブランド、アル・パチーノ、デニーロなどなど、「メソード」演技の優等生達がこぞって出演した、すばらしく豪華な映画だったんだな。興行的にも大当たりして、結局パート3まで製作されたのだが、今、同じ俳優で製作したら、俳優のギャラだけで天文学的な数字になって、収益を上げるのは実に困難だろう。 |