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1999/09/11 天皇陛下、オブチケイゾー、座敷牢 

帰宅してから、のんびりと昨日買った文藝春秋などを読む。今月号はなかなか面白い記事が多い。

「天皇陛下御執筆原稿」

これは現在の天皇陛下が、「サイエンス」に寄稿した原稿や、専門に研究している「ハゼ科魚類の進化」についての原稿を納めた記事。「カワアナゴ亜科のヤナギハゼとハゼ亜科の関係」なんぞというものは、私の人生にとっては何の関係もない話なのだが、日本の皇室の学問愛好の伝統というのは、考えて見るとなかなか面白い。

昭和天皇は、「ウミウシ等の分類学」、その兄弟は確かヘブライ語を勉強していたはずだ。で、現天皇は「ハゼの分類学」、現皇太子がイギリスに留学してケンブリッジで研究していたのが、「中世イギリスの海運」。まあ、よくもこう浮世離れした、毒にもクスリにもならない学問ばかりやってるなという印象だが、これはやはり戦前に軍隊を統帥していた天皇制への反省と、現行象徴天皇制を鑑みて、側近の配慮で、あんまり現世とは関係ない学問の研究を、しきりにお勧めしているに違いない。

確かに皇室の人間が、マルクス経済を研究してたり、政治学の権威であったりしたら、これはこれで、あまりにも生臭いし、逆に本人達も悩むだろう。そういう意味では、「ハゼの分類」、「中世イギリスの海運」なんてのは実に無難な選択である。自由のないカゴのトリの立場には同情もするけど。

「小渕恵三、真空総理の正体」

現総理、小渕首相へのインタビューであるが、読めば読むほど、このオブチという人は訳の分からない怪人である。大賢でもなければ大愚でもなかろう。その哲学や、人間の器量を慮るに、せいぜい中小企業の社長格といったところにしか見えないが、それが、あれよあれよという間にか総理総裁である。ワラシベ首相というかなんというか。人生は実に不可解だ。

「日興證券が私を閉じ込めた”座敷牢”」

リストラで仕事のない中高年を集めた座敷牢のような部署があるなんてウワサはよく聞くが、実際にその「座敷牢」に閉じ込められている人物がその実態を詳しく寄稿したまとまった記事というのは珍しい。

この筆者は途中入社で、証券会社の激務に身体を壊して、奥さんと離婚、神経科通いとなり長期病欠、45歳になってもヒラリーマンという、まさに「絵に描いたようなリストラ筆頭候補」なのだが、65万円の月給が42万、一応100万円あったボーナスが3万7千円というのは確かに気の毒だ。

で、本社とは別のビルにある、「人材開発室」というところで、他のリストラ組と一緒に、毎日仕事もなくただ机の前で待機しているのだから、これは一種のイジメである。会社が辞めさせると、会社都合ということになって退職金を割増しなければならないので、自分から辞めると言わせるためにそういう仕打ちをしているのだと思うが、いくら本人に能力が無いとはいえ、もともとそういう人を雇ったのは当の会社なわけで、あんまり賢い人事政策とは言えない。

もっとも、人間だれしも自己評価というのは甘くなりがちで、リストラされた人というのは、大抵は自分で思っているよりは、ずっと会社からは迷惑がられており、回りの評判だって本人の想像以上に悪いのが通例だろう。そういう意味で、リストラされた人の話すべてをウノミに信じるのは危険なことではある。

しかし、この話の大筋が真実なら、いくらでも他にやりかたはあるはずで、やはり、日興證券という会社の幹部のレベルの低さを証明するような話だ。まあ、実際低かろうというのは、前から想像がついてたが。