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2000/01/22 大相撲の八百長

昼食は近くの九州ラーメン屋で、九州ラーメン「全部入り」を食す。味は悪くないと思うが、この店は店主がやる気がないのか、昼間もすぐに閉めてしまうし、夜も開いてない時が多い。これでよく店が維持できるもんだ。

店に置いてあったスポーツ紙を見ていると、元大相撲幕内力士の板井が、外国記者クラブでの講演で、自分の現役時代に大相撲に蔓延していた八百長のことを話したのが記事になっている。大相撲の八百長は、昔から週刊ポストの記事なんかで話題になってたが、こうまであからさまに暴露されては、相撲協会も大変だろうなあ。

八百長をやったとして実名挙げられてる力士は別として、元横綱の大乃国が八百長やってなかったという板井の証言は、さもありなんという感じ。もともと真面目そうだったし、第一、横綱で15日間出場して負け越したなんて情けない大記録は、普通、八百長やってたらできんわなあ(←妙な感心)。しかし、大乃国はちゃんと全勝優勝もしてるのだからエライもんだ。

もっとも、相撲の八百長そのものについてはあんまり目くじら立てる気にはならない。相撲というのは、そもそもは奉納される神事であって、それが伝統芸能になったようなもんだ。相撲界というのも、たいへん小さな運命共同体みたいなもんであって、記録や勝敗を厳格に競う西洋の純粋スポーツとはちょっと違った世界である。

相撲界ってのも、どちらかというと旅芸人一座やサーカス団というほうに近いのではないだろうか。ドラフトやFAがあって年俸の交渉や代理人なんかが存在するアメリカナイズされたプロスポーツと比較すれば違いは明らかだ。

7勝7敗の力士が千秋楽に勝ち越す確率がむやみに高いと非難する人はいるだろうが、自分がすでに勝ち越してれば、年中顔つき合わせてる相手が、これに負ければ十両に陥落してしまうという場面で、ムリヤリ勝つ気にはならんというのも人情だろうなあ。まして、負けてくれと相手から頼まれたりしたらなおさらのことだ。

もっとも、いくら八百長があったとしても、金だけで弱い力士が強くなったりはしない。相撲をきちんと見てれば、例えば、板井がいくら八百長しても、大関、横綱を張るなんてことは絶対にあり得ない、というのは誰にでも分かることである。何番か勝敗の操作はできるだろうが、実力が無ければ大関、横綱にはなれない、というのが正直なところだろう。

しかし、相撲協会が頑強に否定するのは理解できる。戦後、力道山により大隆盛を誇り、ゴールデンタイムに放送まであったプロレスが日陰者の身になったのも、プロレスの勝負は全部八百長だという認識がTVの観客に定着したからだ。キックボクシングがあっという間に凋落したのは、チャンピオン沢村の真空飛びヒザ蹴りが、「明かに当たってないのに相手がKOされてしまった」という光景がTVで大勢の観客に放映されてしまったのが原因である。

大相撲には大タニマチ、NHKがついてるにしても、組織として八百長の存在を認める、あるいは黙認することは相撲の競技としての側面の死を認めることに等しい。さて、どうするのか。

そういえば、今場所の大相撲もいよいよ千秋楽が明日に迫ってるわけで、こういう報道は意外に優勝の行方に影響を与えるかもしれない。曙もウカツに星を買いづらくなるだろうし、相撲協会も、無気力相撲と見られる勝負が多発してはコケンにかかわるので、うるさく眼を光らせるだろう。

以前にも週刊ポストの「7勝7敗力士ほとんど勝ち越し疑惑キャンペーン」があった後は、むやみに千秋楽でアッケナク負け越す力士が多かった。あれはきっと、相撲協会が厳重注意したか、7勝7敗力士に、八百長を受けない力士をぶつけて調整したんだろう。

さて、明日の千秋楽はどうだろうか。7勝7敗の力士がすべてガチンコ(真剣勝負)で勝ちに行くとしたら、なかなか面白い相撲が見られるような気もする。明日はTVの前で観戦するか。