昨日のニュースで、『歌う不動産屋』千昌夫の不動産賃貸会社「アベ・インターナショナルベンチャーズ」が1000億円の負債を抱えて倒産したと聞いてびっくり。いや、びっくりしたのは倒産したことではなくて、まだ倒産してなかったのか!ってことだ。意外に生き延びるもんだなあ。
日本長期信用銀行がメインだったらしいが、生かさず殺さず不動産価格の回復を待っていたのだろうか。貸し手である当の銀行が、国の特別公的管理に移行して火の車だから、千昌夫にも引導を渡さなければならないのは当然だなあ。まだまだバブルの清算は完了していない。
そういえば、総合商社下位のトーメンも、グループ経営再建計画で、関係会社207社の整理・売却で4074億円の損失を処理するとニュースで流れていた。これも不動産子会社からみのバブルの清算だ。
人員も390人減らし1500人体制。これに伴い2000億円の債務免除を金融機関に要請するらしいが、これはほとんど倒産にも等しい状態である。しかし、トーメンの踏み倒しが2000億。千昌夫ひとりの踏み倒しが1000億。千昌夫もある意味エライもんである。<踏み倒しをほめんでもええ!
ま、これで兼松に次いで総合商社の看板を下ろすのはトーメンで決定。その次に脱落するのは、日商岩井とニチメンか。あと10年もすれば、総合商社という看板かかげて残ってるのは、旧財閥系の3社くらいだろう。日本の高度成長と共に飛躍的に取扱高を増やしてきた「大艦巨砲主義」の総本山である総合商社船団の崩壊である。
金融機関については、潰れるところは潰れたし、政府が公的資金投入で、花咲ジイサンのようにツカミ金をばら撒いたので、当面は大丈夫だろう。問題は、バブルに狂奔したツケが回って青息吐息の事業会社に、『連結決算対象範囲の拡大』、『退職給付債務』、『金融商品の時価評価』、『減損会計』という、企業会計上の大変革が、次々に押し寄せてくることだ。
「当時のバブル経済の中では、誰も今がバブルだとは思っていなかった」、というのは90年代初頭のバブル経済の崩壊を経験した後で、誰もが決まって述べる後悔だが、そういう意味では、心配なことがある。ひょっとして、今や最盛期を迎えているバブルがあるのではないか。それはアメリカの驚異の株高を演出している、ハイテク・インターネット関連株である。
今や、バブル最大の虚業家とボロカスに叩かれている、EIEインターナショナル高橋治則代表も、当時は稀代の風雲児、時代の寵児であった。銀行は彼の元に日参して、すがらんばかりに「うちから金を借りてくれ」と頼んだのである。もしも、今のハイテク関連株の相場がバブルだとするなら、EIEの高橋にあたるのは、さしずめソフトバンクの孫正義だろうか。
考えてみるとEIEとソフトバンクもよく似ている。巨額の金を湯水のように借り入れて投資する先が、EIEはホテルやゴルフ場や土地、ソフトバンクはハイテク・ネット関連株というだけの違いである。
もしも、金利が上がってアメリカの株価が暴落したなら、実業無きネット株バブルの寵児、孫正義率いるソフトバンクを待っているのは、おそらくクラッシュに近い、かなり悲惨なハードランディングの結末ではないだろうか。
とはいえ、前回のバブルの経験からすると、あれがバブルだったと誰もがはっきりと言えるのは、ハイテク株が暴落して、アメリカ株バブルが終わった後。しかし、それでは遅いのだよなあ。 |