今日も寒かった。仕事のほうは特筆すべき事項なし。 会社更正法を申請して整理ポストに入った長崎屋の株だが、日経の株価欄で見ると、いまだに4円から6円の間で値動きがある。上場会社が倒産するといつものことだが、上場が廃止になるまでの1円、2円の値段差を利用して、少しでも他人から金をむしりとろうと血みどろのマネーゲームが続いているわけだ。
4円で100万株買っても4百万円、それを6円で売却すれば6百万円。一瞬にして2百万円の儲けである。まあ、3円、2円と下がってゆけば、一瞬にして損も出る。最後に値がつかなくなった時に、現物株を握ってた者の一人負け。いわば株を利用した壮大なババ抜きである。
売買株数から推察するに、動いている金は数千万円のオーダーだから、叩き合いしてるのは、やはり倒産株マニアの個人投資家達だろうか。
利益を上げられる可能性が少しでもある場所には、金は流れ込んでくる。それは何の不思議もない市場経済の本質ではあるが、整理ポストに入った株を巡っての、こういうマネーバトルを見てると、いつもの事ながら、株に熱中しすぎると人間が品性下劣になると思う。
最近のインターネットでは、株式関係の掲示板が盛況なんだそうだ。なかには、風説の流布や、インサイダー取引規制に抵触しかねない匿名の書き込みもあちこちであるらしい。
Yahoo!の株式掲示板も、見てるとなかなか活況で、ネットを利用した情報収集や株式投資がずいぶんと進展してきていることが分かる。ただ、不思議なのは、マーケットから見放された「100円割れ株価」会社の掲示板に限って、ずいぶんと熱い書き込みで賑わっているところ。
高値でつかんで売るに売れなくなったのか、「銀行が大株主ですから倒産はあり得ません。そのうち上がります。みなさん頑張りましょう」などとどこにも根拠ない楽観的観測を書く者。ちと哀れでもある。
「30円になったら買い時です」、と他人まで泥沼に引きずりこむ、空恐ろしいような珍妙な買い哲学を披露する者。
自分は株を持ってない安心感からか、あるいは高値で買ってヤケクソなのか、「こんな会社倒産するにきまってるだろ。バ〜カ」と、ネットならではの口汚い書きこみをする書き逃げクン。
「業績回復見込みが薄く、巨額の含み損を持ってる可能性があるから株価が額面を割ってるのであって、低位株にシロウトが手を出すと火傷しますよ」と、ごく常識的な忠告を書く者もいるにはいるが、その数はわずか。低位株の掲示板に書き込んでるのは、たいてい、能天気な馬鹿者か、品性下劣なマネーゲーマーばかりである。
ま、実際に株で勝ち抜いてるのは、こういう掲示板に書き込んでるたぐいの人間ではないだろう。彼らは陰でそっと、カモがネギしょってやってくるのを笑ってみているに違いない。ようこそ、血みどろのマネーゲームへ、ってもんだ。
とはいえ、個人が自分のリスクで余裕資金を投資に回すのは、ワールドスタンダードとしては当然のことであって、お金というと銀行に預けるしか策の無かった今までの日本の常識がちょっとおかしかったわけである。株式市場にどんどん個人投資家が流入するというのは、日本のマーケットが国際化してきているという現われだともいえるだろうか。 しかし、愚か者がリスク・テイクすると、いいようにカモにされるというのも、古今東西を問わないワールドスタンダードなんだけどなあ。 |