金曜日の日経の朝刊だったか、アメリカの企業で社員のインターネット不正使用を監視する会社が増えているという記事があった。最近でも、米ゼロックス社は、勤務時間中にインターネット競売にウツツをぬかしていた社員40名を解雇。ニューヨークタイムズもメールの不正使用で20名以上の社員を解雇したとか。
アメリカでの調査では、米企業の27%が社員のメールの内容をチェックしているのだという。人権やらプライバシーにうるさい米国で、社員の電子メールの中身をチェックしてるとは、驚く人もいるかもしれないが、確かアメリカでは数年前に、会社による電子メールの内容チェックが合法であるという判決が出てるはずだ。
会社の電子メールを私用に使ってたとして解雇された社員が「解雇権」の濫用だとして会社を訴えたケースだったと思ったが、会社の費用で業務のために構築したメールシステムが不正に使用されていないか、会社はチェックすることができるという判決の内容だった覚えがある。まあ、ケースによっては電話の盗聴も合法の国だからなあ。そうそう、他人事じゃなくて、日本も「盗聴法」が成立して盗聴OKになったんだった。
日本の場合は、27%もの会社が社員の電子メールの内容をチェックしてないと思うが、ま、思い当たるところがある人は会社からあんまり無用なメールを出さないほうが賢明かも。ははは。もっとも会社がやってなくても、社内情報システム部門にストーカーがいたら個人的に気になる女性のメールなんてチェックしてる可能性だってあるよな。プロバイダにだってどんな社員がいるか分からないし。ちょっと怖い話だ。
そんなことを考えながら週刊新潮を読んでると、もっとスケールの大きい、「”米スパイ網”驚くべき実態」という囲み記事があった。
仏ル・モンドの記者によると、米英両国が構築した、「エシュロン」という国際通信傍受システムが存在し、全世界の電話、FAX、Eメールなどを、通信ケーブルの中継地に設けた特殊な機器で密かに傍受しているのだという。最近は、オーストラリア、カナダなど、英連邦諸国も参加して、システムを運用。テロ、爆薬などのキーワードでスクリーニングして通信を解析して、国家安全保障に役立てる以外にも、国際商談を巡る通信も傍受して、米国軍需企業の国際入札の応援などにも使われてるのだとか。欧州議会で審議が始まったとともに仏でも公式の調査委員会が発足したというのだが。
インターネットの通信なら、国際間のケーブルのところで傍受すれば内容をコンピュータでフルイにかけるのは可能な気もするが、FAXや音声データまで取りこんで分析するのはとんでもなく大変な気がする。似たような話は他でも聞いたことがあるが、費用効果の面でいうと、これも「陰謀伝説」の一種のように思えるなあ。もっとも軍事や諜報の世界は、効率なんてあんまり考えないかもしれないが。
ただ、今ではすっかり使われなくなったとはいえ、国際テレックス網については、アメリカ向けの通信を、NSA(国家安全保障局)やCIAが傍受しているというウワサは絶えなかった。電話回線でテレタイプを動かすようなもんだから、もともと電文も一種のデジタルで、電文も短く、解析も容易だろう。
うちの会社の輸出部門の古参社員に直接聞いた話だが、昔々は、テレックスでアメリカの現地法人と連絡していると、商談の内容がアメリカの公的機関に漏れているとしか思えない不思議なことが数々あったのだそうだ。彼自身は、アメリカ向けのテレックスはすべて政府に傍受されていると強い確信を持っていた。
もっとも当時だと、これをかいくぐる簡単な策があって、テレックス電文を日本語ローマ字表記で打つ。「A-sya no ken keiyaku seiritsu 」とかなんか書くわけですな。メリケン野郎にはローマ字なんて分かるまい。恐れ入ったか。わはは。
ま、もっとも、太平洋戦争の時は、アメリカ軍は日本語の専門家を大量に育成して、日本軍の暗号をすべて解析してたのだから、むこうが本気になったら、こんな程度では全然ダメなことは明かではあるのだが。
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