北海道で、日本2頭目となる狂牛病の牛発見。まさか日本中で、1頭だけが感染してるなんてあり得ないと思ってたが、やっぱりなあ。 イギリスの狂牛病研究の権威、リチャード・レイシーは、12月号の「文藝春秋」の、「狂牛病、あまりに楽観的な日本人」という記事の中で、 「(狂牛病)問題のもっとも申告な部分は、1頭見つかったら、今後は何頭でてくるかわからないというところです」と述べていたのだが、実際にその通りだった。 アメリカやオーストラリアでは感染は報告されていないし、国際機関のサーベイでも、「狂牛病が存在する可能性は低い」とされている。日本の場合、「狂牛病は、まだ発見されていないが、存在がありうる」という結果が出そうになったため、あわてて官庁は、調査への協力を止めたと伝えられているが、その直後の9月に最初の狂牛病の牛が見つかったのであった。 別に、なんの問題でも官僚の責任だという気はないが、やはりこの問題に関しては、農水省の怠慢だという気がする。まったく、なんのために、今まで税金使って仕事してたのだろうか。食肉について全数プリオン検査するから安全だ、などという安全宣言は、ちょっと安易だったと思う。 ところで、報道によると、この狂牛病の牛は、北海道天塩町の食肉処理場で19日に解体された5歳7か月のホルスタイン種のメスだという。ホルスタインというのは、ご存知の通り肉牛ではない。5歳7ヶ月というのも、普通の肉牛にしては年を取り過ぎだ。 この牛は、おそらく、乳の出が悪くなった乳牛で、これからツブされて肉になる直前だったのではないかな。イギリスでは肉牛よりも乳牛のほうがずっと狂牛病の発症率が高かった。これは、肉牛が、生後およそ3年未満で食肉になるのに比べ、乳牛はずっと搾乳のために飼育されるため、潜伏期間を過ぎて発症するケースが多いのだと言われている。 日本では、このホルスタインのように、お払い箱になって肉として売られる場合、スーパーではどのように表示されるか。 食肉の表示に関する公正競争規約等により、小売店などでの表示は、「和牛」と書いてあるのは、国産牛のうち「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角短角種」などの、いわゆる肉牛。そして、上記以外の国内で肥育された牛で、ホルスタインなどを肉用にした場合には、「国産牛」と表示されるらしい。 日本の狂牛病、1頭目も確か、ホルスタイン種の乳牛ではなかったか。あれも、お払い箱になって食肉になる寸前であった。今までに、日本で狂牛病にかかった乳牛が、何頭さばかれて食肉となって売りさばかれたか。今となっては知るすべはない。 そして、誰しも、スーパーで、「国産牛」と表示のある食肉を、今までどれだけ買ったことがあるかどうか。それもまた、思い出すすべもないのが現実である。 まあ、唯一の気休めは、イギリスの狂牛病発生件数に比較して、人間の新型CJDに罹患した患者が、せいぜい100人弱と、人間への感染がかなりマレであるとも考えられることだろうか。 |