そういえば、昨日は、元気があれば、クリントンの「不適切な性的関係」ネタを書こうかと考えていたが、もはや出遅れてしまった。ま、もともとはアーカンソーの住宅地造成を巡るホワイトウォーター疑惑の捜査が始まりだったはずだが、今や、執拗な捜査には政治的な陰謀の匂いさえしてきた。
もっとも本題だったはずのホワイトウォーター疑惑は、結局沈静化してしまったが、疑惑の鍵を握ると見られていたクリントンの補佐官は謎の自殺をとげているのだから、やはり、どうしても知られたくない秘密がそこには隠されているような気もする。
昨日はTVも見ずに寝てしまったので、結局、肝心のクリントンのスピーチは見逃してしまった。しかし、Yahoo!で検索すると、ニュースのサイトにスピーチの原文が掲載されている。なかなか婉曲な表現が満載で、アメリカ人相手に言い訳をする時には参考になるかもしれない。ちょっとメモしとこう。
I answered their questions truthfully, including questions about my private life, questions no American citizen would ever want to answer.
まず最初に、「どんなアメリカ市民でも、(たとえ尋ねられたとしても)決して答えたくないような質問」ときたね。もっとも、こんな質問をされるのも、自らの身から出たサビではあるんだが。
As you know, in a deposition in January, I was asked questions about my relationship with Monica Lewinsky. While my answers were legally accurate, I did not volunteer information.
以前の回答では、「モニカ・ルインスキーとは性的な関係は無かった」と断言してた訳だから、ありていに言うと「ウソをついてた」事になるのだが、「法的には正確な回答であったが」と挟むところが、なかなかクリントンの打たれ強いと言うか、しぶといところだ。
「法的には正確な回答」と言うのは、やっぱり「口ならOK」の事を言ってるんだろうなあ。ここでプププと笑ったアメリカ人も多かったに違いない。
「自発的には(それ以上の)情報を提供しなかった」と言うのも、なかなかあざとい逃げで、要するにウソついた後は黙ってただけなんだけどなあ。しかし、アメリカ人とモメた時には使えるな、こういう表現。メモメモ(笑)。
Indeed, I did have a relationship with Miss Lewinsky that was not appropriate. In fact, it was wrong. It constituted a critical lapse in judgment and a personal failure on my part for which I am solely and completely responsible.
この「not appropriate」(適切でない)と言いう言い方も、深刻な響きのない、実に軽い言葉で、なるたけ事態を深刻に見せたくない考えが伺える。「personal failure」、「my part」、「solely」と繰り返しているのも、まったくの個人的な問題だ、と言う印象をさりげなく与える為だろう。やっぱり考えてるなあ。
I know that my public comments and my silence about this matter gave a false impression. I misled people, including even my wife. I deeply regret that.
この辺も、単に「宣誓証言でウソをついた」事実を、「誤った印象を与えた」「人々を誤解させた」などと巧みに婉曲な表現に言い換えている。この辺の表現も、アメリカ人に「あんたはウソついたろう」と非難された時に使えるなあ。メモメモ。<もうええっちゅうねん。
まあ、言い訳はこの辺で終わって、プライバシーの侵害にまで踏み込んだ捜査への非難と、まだまだやるべき仕事があるので、それに注力するべき決意を表明して終わるのだが、アメリカ大統領がわざわざTVで放映するには、実に情けない内容のスピーチだった。
そう言えば、普通は、スピーチの最後に、「God bless America」(アメリカに神の祝福あれ)と言うのがデフォルトだと思っていたが、ネットで見たスクリプトにはなかったなあ。もっとも、神様が聞いたら、「こう言う場面でオレを呼ぶなよ、オレを」と怒ったに違いない。