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1998/09/18 『有名人に出くわす』考 / 『核戦争を待望する人びと』

今日の日記猿人の新作リストから日記を読んでると、 こちらの日記や、 こちらの日記で、「いままでどんな有名人芸能人に出くわしたか」ネタに遭遇したので、得意の付和雷同で、私も思い出してみよう。

この日記にもどこかに書いてあるので、以前から読んでいただいてる人はご存知かもしれないが、アメリカでは、シカゴのカラオケ屋で葉月里緒菜に会ったのと、オヘア空港でプロレスのブッチャーに出くわしたのの2回ですな。

その他にテレビに出てるような人を偶然に見かけた事あるかいなあ、と思い出してみると、昔々、阪急の梅田駅で私の前で漫才のオール巨人が切符を買ってたなあ。東京で言うと、世良正則が千代田線にひとりで乗ってるのを見かけた事がある。ん〜っと、あとは、新宿の京王百貨店の入り口で中村玉緒がロケしてたのにも出くわしたか。そうそう、神保町の古書街でロケ中の笑福亭釣瓶もいたな。

う〜む。こうして振り返ると、さほどの大物はいないよなあ。

そうだ、あとは、野球の王監督が、虎ノ門の飯屋の前で昼飯食うのに並んでるのに出くわしたんだった。「世界の王」。これは大物。しかし、昼休みにブラブラと飯食いに歩いてるところに、テレビで見慣れた顔が前にいるとやはりびっくりして、「あっ、王だ!」なんて呼び捨てで声が出てしまうね。聞こえたからか、本人はジロっとこっちを睨んだけど、考えて見ると失礼だったよなあ。はは。


そういえば、先週のマウイ島のゴルフコースで、バッグドロップからクラブハウスまでのカートに乗っけていってもらう時、たまたま途中でカートに乗った白人がいた。この男が、カートの運転手に、「1番ホールにボディガードが待ってるから連れてってくれ」とのたまう。

冗談かと思って顔を見たけど、これがマジなんですなあ。身なりのいい、40歳くらいの、見るからに典型的なWASPのエリート風だったが、あれはいったい誰だったんだろう。見覚えがないから俳優とかでは無いと思うけどねえ。しかし、俳優以外にボディガード付きでゴルフするって言うと、大金持とか政治家とかだろうか。追いかけていって素性くらい聞いとけばよかったか。ボディガードに殴られたりして。はは。


さて、今朝のニュースを見ていると、

「複数のロシア国内通信社によれば、エリツィン大統領がセルゲーエフ国防相に、滞っている軍隊向け給料の少なくとも一部を、今月中に支払う意向を伝えた。」
ってのがあって、これにはちょっと驚いた。軍隊の給料を払ってないかねえ。もともとソ連邦の崩壊でロシアの軍隊はタガがはずれて無茶苦茶らしいのに、給料も貰えてないんじゃあ、武器持ってる奴等が頭にきて何するか心配だよなあ。5月から給与の支払を受けてないんだそうだ。

さらにニュースは、

「同国防相が、債務の支払のための現金獲得手段として、軍が所有する資産の売却案の概要を説明した」
と続くのだが、軍の資産って、まさかミサイルだとか、原水爆だとか毒ガスとかじゃないだろなあ。もうすでに金が目的で、戦術核すらも第三世界に流出し始めているとささやかれているが、この噂が事実だったら、ロシアという国家自体が、膨大な核兵器や、巨大な軍隊をコントロールするすべをすでに持たない事を意味している訳で、これは世界の平和にとっても実に憂慮すべき事態だ。


ちょっと話は変わるけど、アメリカには『ファンダメンタリスト(根本主義派)』と呼ばれる一種狂信的とも言えるキリスト教信者がいて、これは、聖書の記述が一語一句すべて真実であると考えている人達の総称だが、その中には困った事に、新約のヨハネ黙示録そのままの世界の終末、いわゆるハルマゲドンが「文字どおりそのまま来る」と信じている人々がたくさんいる。

聖書による最終戦争が行われるイスラエル、メギトの丘に攻めてくる軍勢とはロシアだと信じて疑わない連中も多いらしい。更に悪い事には、彼らは、これを『世界の終末・崩壊』とはとらえずに、『キリストの再臨』であって、ファンダメンタリストである彼らだけは「raputure」(携挙:あるいは「天国移送」)によって天国に引き上げられ、魂の救済を得ると考えているらしい。

つまりは、彼らの理屈に従うと、世界最終戦争が早く来れば来るほど、世界は滅びても自分達の救済は早まる訳で、実際に核戦争を待ち望んでいるキリスト教徒勢力があることは、グレース・ハルセル「核戦争を待望する人びと」(朝日新聞社)などに詳しい。


やがてハルマゲドンが来る。それこそが神の意志である、と説いたハル・リンゼイの「今はなき大いなる地球」って本はアメリカでも大ベストセラーになって、レーガン大統領も読んでいたと言う。ソ連を「悪の帝国」と呼んだレーガン大統領は、少なくともある時期までは、ハルマゲドンを世界最終核戦争に結び付け、その必然性を信じていた証拠が色々とあるらしい。

強大な権力を持つアメリカ大統領がこういう考えの影響を受けていたとするなら、これは結構恐ろしい話だ。幸いにして、レーガンはすでに大統領の座には無く、ボケてしまったから安全だけど、もし、今でも、政治や経済の強大な実権を握っている連中がこういう考えに毒されていたら、彼らはこの世界を崩壊するほうに進めようと努力するだろう。それこそが神の意志、『(彼らにとっての)聖書に書いてある預言の成就』なのだから。

ここらへんの論理は実に「オウム真理教」に似ている。と言うよりも、オウムが、ハルマゲドンの概念をキリスト教の終末観から、ゆがめて取り入れたのだから当然といえば当然で、むしろファンダメンタリストのほうが本家本元と言わなくてはならないだろう。


で、この『ハルマゲドン説』の成就には、終わりの日にイスラエルに攻め寄せる『北方の悪の帝国』の存在が不可欠なのだが、当然ながらアメリカのファンダメンタリストにとっては、これは長年ソ連の事だった。

しかし、ゴルバチョフ大統領が就任して、ペレストレイカ政策を推し進め、東西陣営の壁が崩れて平和ムードが漂ってきた事は、世界平和にとっては大きな進歩だったが、ファンダメンタリストにとっては大きな失望で、世界の終末(彼らにとっては世界の救済)が遠のいたかもしれないと、狂信者はガックリきてたに違いない。

ところがどっこい、いよいよ世紀末が近づくと、実に不気味な事に、ソ連は崩壊、ゴルバチョフは失脚、ロシアはアル中の大統領に率いられて内政は大混乱、軍隊も核兵器もコントロールできず、国自体も内部崩壊寸前。何が起こってもおかしくない状況だ。

こういうゴタゴタを見ていると、世紀末を控えて、再び世界の行く末には、濃い霧が満ちてきたような感がある。狂信的ファンダメンタリスト達は、再び甘く香りだした世界の終末の予感を、希望に満ちて分かち合っているのだろうか。実に気持ち悪いよなあ。