ニュースを見ると、イラクへの爆撃はまだ続いているらしい。アメリカ国内では、下院での大統領弾劾決議から世論をそらす為の軍事行動だとの見方も一部にあるようだ。

しかし、イラク攻撃で一日遅れたとはいえ、下院では、金曜日から弾劾決議に関する本会議は始まるし、下院で弾劾決議が可決されたとしても、大統領弾劾には上院で３分の２以上の賛成が必要だから、現時点ではクリントンがホワイトハウスを追われる可能性は非常に少ないのが現状で、世論の目をそらしたり、弾劾決議を牽制する為の軍事行動って意味はあまり無いような気もする。

もっとも、弾劾決議が可決されるとすると、歴代の大統領としては２人目、今世紀になっては初めてだから、恥さらしである事は間違いない。あのリチャード・ニクソンでさえ、大統領弾劾決議が不可避だと分かった時点で辞任せざるを得なかった。

逆に考えると、ニクソンの辞任は、側近の犯罪行為が次々と明らかになって逮捕者が相次ぎ、自らの刑事責任すら問われるような崖っぷちの状況で、自らの辞任と引き換えに後任のフォード大統領から特別免責を引き出すという目的があった訳だが、クリントンの場合は、問われてる事件がセックス・スキャンダルでの偽証という、実にみっともない案件だけに、かえって体面上からも辞任しづらいってところはあるだろうなあ。

今、辞任したら、「セックス・スキャンダルで辞任した大統領」という汚名だけが歴史に残ってしまうが、石にかじりついてでも任期をまっとうすれば、あるいは後世で再評価される事がないとは言えない。まあ、身から出たサビとは言え、実にご苦労なこった。