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1999/01/06 Y2K−アメリカの西暦2000年問題 / 因縁の大統領選挙

Yahoo!で昨日のニュースを見ていると、「Y2K」という見慣れない見出しが目に付いた。アメリカでは最近、「西暦2000年問題」の事を見出しでこういう風に略記してるようだ。「Year 2 thousand」を略して、thousandをキロにあたる「K」で代用したんだな。なるほど。ちょっと前までは、こういう表記は目にしたことがなかったような気がするけど。

石油会社のシェブロンや、通信会社のAT&Tは、2000年問題に対して自社コンピュータシステムの対応が間にあわない可能性がある事を公式に認めたという。ファストフードのマクドナルドや、総合化学会社デュポンは、自社の対応は大丈夫だが、仕入先などの対応が間に合わずに業務に混乱が生じる事を予想して、コンテンジェンシー(危機管理)プランの作成に入った。

ちょっとコワイ話だが、これらの情報はSEC(証券取引委員会)にその会社から自発的に報告があったもの。どちらかというと、西暦2000年になった時に問題が起きた場合に予想される、消費者や株主からの代表訴訟に先回りに対応して、悪い情報を開示しておこうという事らしい。訴訟社会アメリカの一面でもあるが、悪い事はなんでも隠そうとする日本の企業とはかなり違うよなあ。


訴訟対策とはいえ、まったく問題が無いと自信があったら、そんな事をわざわざ公表する必要はないから、やはり実際のところ、アメリカの大会社でも対応は遅れているのが事実だろう。これがアメリカの実態としたら、日本の企業は本当に大丈夫なのかね。自社だけが大丈夫でも、原材料や中間財の仕入先や、複雑に連関した系列会社のシステムが次々ダウンしたら、連鎖的に影響は広がって行くだろう。

アメリカの報告では、航空管制システムの2000年対応も予定より遅れているらしい。最近の調査では、アメリカの半数近くの人が、西暦2000年の1月1日には旅行しないと回答したなんて記事もあった。

なんとか飛行機が墜落せずに着いても、レンタカーの予約やホテルの予約が入ってなかったり、ガソリン入れようとしたらクレジットカードが使えない。セルラーフォンも使えなくてどこにも連絡が取れない。マックに入ろうとすれば、材料が来てなくて閉店。こういう状況もありうるから、まあ、一段落するまで、食料や水を買い置きした自宅にいるのが無難かもしれない。

あるいは、休暇を取って、コンピュータなんぞ関係ない南の島でのんびりするのもいいかも。飛行機が飛ばなくなって、しばらく日本に帰れない可能性もあるけど、どうせ日本の会社も大騒ぎかもしれないし、慌てて出勤してワリ食うのもバカらしいもんなあ。不可抗力でしたって事で追加年休取って、リゾートでのんびりして、混乱が納まってから帰国して出社。我ながらいいなあ、このプラン。今年の年末は南太平洋のリゾートにでも予約入れておくか。帰ってきたらクビになってたりして。


そうそう、西暦2000年というと、アメリカ大統領選挙の年でもある。一昨日のニュースでは、エリザベス・ドールがアメリカ赤十字の総裁を辞職して、西暦2000年のアメリカ大統領選へ立候補する事を検討中なんだという。エリザベス・ドールってのは、前回の大統領選挙でクリントンに破れたボブ・ドール前上院議員の奥さんだ。もしも立候補するとしたら、アメリカ史上初の女性大統領候補の誕生となる。

ドール夫人は、ただの政治家の奥さんではなくて、もともとハーバード出身の弁護士。リンドン・ジョンソンの時から6人の大統領の下で25年間も色々な政府の仕事をしてきた筋金入りのやり手で、レーガン大統領の時は運輸省の長官も勤めている。夫の選挙戦の時は、ヒラリー・クリントンと比べられたりしたもんだけど、公職と政治の経験では、ヒラリー・クリントンより遥かに優ったスーパー・レディなんだな。

実際のところ、旦那のボブ・ドールからも、お前のほうが立候補しろと勧められていたらしい。もっとも現時点での共和党の最有力の大統領候補は、テキサス州知事のジョージ・ブッシュ2世らしい。こちらは、ブッシュ前大統領の長男。


党の指名を争う予備選挙では色々と波乱が起こるから、あまり最初から名前が出るのは必ずしも有利な事ではないが、民主党はやはり、現副大統領のアル・ゴアで戦うのだろうか。ゴアってのは、民主党にしては、いかにもエスタブリッシュの匂いがプンプンして、イマイチ大衆人気が無いような気がするけどなあ。

もっとも、一般に副大統領ってのは、大統領の陰にかすむ損な役回りで、ブッシュ時代のダン・クエールなんて、誰ももう覚えてないんじゃないだろうか。せいぜい、「ああ、あのTVで、ポテト(potato)のつづりを間違えたアホボンね」って感じだろうか。まあ、確かに名家のボンボンだけど馬鹿だったらしいね。<おいおい、ええかげんにしとけよって。


そう考えると、やはり、ここは民主党では、どうしてもヒラリー・クリントンに出馬してもらわなくてはなるまい。共和党がエリザベス・ドールで一本化できれば、2000年の大統領選は、クリントン対ドールの前回の選挙戦の遺恨試合を、奥さん同士が戦うことになる。しかもアメリカ史上初の女性大統領の座をかけて。これはきっと盛り上がるぞ。世紀の一戦、あるいは、女同士、因縁のリターンマッチ。

まあ、共和党候補がジョージ・ブッシュ2世になっても構わない。そうしたら、エリザベス・ドールは副大統領候補に回る。このほうがメンツが豪華だな。

親父のブッシュは、前々回の大統領選挙でクリントンに負けた訳だから、ブッシュ2世もクリントンには恨み骨髄。前回、前々回の2回分のリターンマッチを、ヒラリー・クリントンに対して、ブッシュの息子とドールの奥さんのタッグチームで戦う事になるわけだ。アル・ゴアなんて出てきてもらっても盛り上がらないから、ここはどうしても民主党候補はヒラリー・クリントンだよなあ。<おいおい、プロレスのマッチアップやないんやって。

もっともその頃には、ヒラリー夫人はクリントンと離婚して、ヒラリー・ロッダムに戻ってる可能性がある。そうなると、ちょっと遺恨試合の意味が薄れて、盛り上がりに欠けてしまうんだよなあ。