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2000/05/02 クローネンバーグの「エクジステンズ」

本日ものんびり起床。しかし昼までにはずいぶん間があるので、思い立って上野の国立博物館の「日本国宝展」を見に行く。5月7日で終了なんだった。しかし、上野の駅を降りた時からゾロゾロとジイサマ、バアサマがあっち方面に歩いて行くので、嫌な予感がしたら、切符売り場のところにすでにして100メートル以上の長蛇の列。何か嫌だといって、列を作って待つほど嫌なことはない。あっさり退散。

気分を変えて銀座でデビッド・クローネンバーグ監督の「エクジステンズ」を見る。「eXistenZ」と書くらしい。近未来、脊椎にプラグをつけて、爬虫類の遺伝子操作から生み出されたバイオ・ポッドを直結し、全ての感覚を支配するヴァーチャル・リアリティゲームに興ずる人達。大手アテナ社の新作ゲーム発表会で、作者の女性が狙撃されたことから、ゲームの中の世界と現実の交錯した奇妙な世界が広がってゆく。

このゲームに使うパッドが生き物でグニャグニャ動くわ、脊髄に装着したプラグに繋ぐケーブルは、まるでヘソの緒のようで、切ると血しぶきが飛び散るわで、なかなか気色悪い。

クローネンバーグと言うと、「ビデオドローム」や「スキャナーズ」、「裸のランチ」などが思い浮かぶが、この作品も、よく言えば、クローネンバーグ独特の世界観に満ちた作品だし、悪く言えば、クローネンバーグも相変わらず気持ち悪い映画ばかり作ってるなということになろうか。キューブリックやデ・パルマほどの思い入れはないが、なかなか独特な魅力を持った監督である。ウィレム・デフォーは出演してるが、ホンのチョイ役だし、かなり低予算で撮影できたんではないだろうか。

ゲームのリアリティと現実が渾然となって交錯するラストは、なかなか気が利いていてよかった。予想がつくラストといえばその通りだが、それでもなかなか結構。

余談だが、映画ファンの掲示板なんぞ見ていると、色々な映画のラストに、「ああいうラストになるのは半分くらい見たところでわかった」、とか、「いや、俺はもっと早くわかった」、とか、まるで早くラストが分かるのがエライかのようなやかましいことを言う奴がいるが、映画のラストなんぞ、早く予想してもつまらないことである。

そんなものを気にしながら見るのは、水曜なんとかサスペンス劇場、「湯煙紀行なんちゃら殺人事件」なんぞをミカン食べながら見て、「あっ、これが悪者よ」、「分かった、これは最後に裏切るね」とかなんとか話しながらテレビ見てるようなオバハン趣味である。せっかく金払って映画館に来てるのだから、最後まで映画のストーリーにドップリひたりながら見て、最後のラストでなるほど、と感心する(ま、感心できないのも勿論あるが)、それが映画の醍醐味だと思うのだけどね。