昨日の夜は、DVDで「007/ユア・アイズ・オンリー〈特別編〉」を見た。なんで今ごろそんな物を見てるのかというと、最近、DVDでダブル・オー・セブンシリーズがドッと発売されてるので、つい買ってしまったのだ。ま、007物は、脚本や役者をあれこれ論評する映画ではなく、いつ見ても気楽に楽しめるエンターテインメントであるが、ロジャー・ムーアのボンド物では、この作品が一番いい出来だ。
ギリシャの紺碧の海、ビスタッチオ・ナッツ畑の斜面を駆け下りるカーアクション、南アルプスのスノー・リゾートでの雪上でのチェイス、絢爛たるカジノ、スペインの海岸、そびえたつ岩山の上の修道院、まるで南ヨーロッパ観光案内かのような豪華な映像。もうすでに20年近く前の映画だが、雪山をバイクで疾走するアクションは、案外に古さを感じさせない。
すべてのドタバタが終わったギリシャに浮かぶ船の上。「Moonlight swim? For your eyes only」とヒロインがボンドに囁くと、ドレスがパサっと足元に落ちて、あとは月光の海を泳ぐシルエット。この終わりかたが、いかにもオトナの童話、ジェイムス・ボンドなのだよなあ。 すでにこの時点では、イアン・フレミングの原作はとっくに使い果たして、新しく映画向きに脚本をイチから書いてるのだが、それがかえってストーリーの自由度を増してよかったか。ロジャー・ムーアは、年齢的に、この頃がボンドとして通用するギリギリの限界だった。まあ、この後も何作も出てるのだが。 |