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2001/02/11 「エクソシスト」の衝撃

昨日の夜は、途中まで見て中断していた「エクソシスト」を最後まで見る。もう25年も前の映画だが、今見てもさほど古さを感じない。ストーリーがよく練れており、撮影も丹念だ。シンプルだが、リアルな迫力。宗教を背景にした映画の重苦しいトーン、そしてエクソシズムによる悪魔との対決部分は、密室の心理劇でもあり、作品そのものに深みを与えている。

監督のウイリアム・フリードキンは、そもそもはドキュメンタリーから映像の世界に入ったそうだが、なかなかの凝り性のようだ。「フレンチ・コネクション」とこの作品以外はこれといったヒット作が無いというのも、ちょっと不思議な気がする。

この映画は、アカデミー脚色賞と音響賞を獲得したらしいが、確かに音響が素晴らしい。リーガンに憑依した、奇妙に非人間的な悪魔の声。少女の口から吐き散らされる邪悪で冒涜的な言葉は、多重録音処理によって、シーンごとに微妙にトーンが変えてある。映画全体をおおう静寂さと、エクソシズムの場面の激しい音響とのコントラストは、光と闇との闘いを音によって表しているかのようにも感じる。

それにしても、”Let Jesus fuck you"と叫んで十字架を掴み自傷し、止めに入る母親を殴りつけて、”Do you know what she did, your cunting daughter?" と悪魔がリーガンの口を借りて嘲笑するシーンの衝撃というのは、25年前の映画とはいえ、まったく変わっていない。この映画で一番冒涜的で、あっけにとられるほど凄まじいショット。この部分は、今でもアメリカの通常ネットワークでは放映できないに違いない。悪魔の声がまた憎憎しげで、凄い。

リンダ・ブレアにほどこされたメイクアップも、CGなどによる特殊効果などほとんどなかった頃にしては、今でもちゃんと鑑賞に堪えるのは立派なものである。そういえば、去年、劇場でのディレクターズ・カット版の公開が、直前になって中止されてしまったが、あれは結局どうなったのだろうか。