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2001/10/20 「アンブレイカブル」の捨て去る勇気

昨日は昼過ぎまで寝倒して、あとはゴロゴロして過ごし、買ったまま放置していた、「アンブレイカブル」のDVDを見る。編集の最終段階で捨てられた未公開シーンが、なかなか興味深い。

一番感心したのは、事故でたった一人だけ生き残った主人公、デヴィッド・ダンが、共同慰霊祭の直前に神父と話すところ。「これは、単なるツキではなく、もっと重要な何かなのでは?」と悩むデヴィッド・ダンに、「What's you point David? You were chosen? I don't think so.(いったい何が言いたい? 自分は神に選ばれたとでも? そんなバカな。」と神父が吐き捨てて立ち去る。この神父の12歳の甥も、同じ事故で亡くなっていたのである。

このシークェンスは、神父役の演技も見事で、デヴィッドの苦悩も浮き彫りにする印象的なデキ。本編にも入れたらよかったのになあ。事故から生還して、自宅のシャワールームで嗚咽するデヴィッドのシーンも、実によくできているのだが、これも最終版ではカットされている。

監督のナイト・シャマランは、精緻なストーリーボードを作ってから撮影に臨むようだが、幾多の素晴らしいシーンを、実にあっさりと捨て去っていることに妙に感心した。撮るだけならシロウトにもできるが、全体の効果のために、それを勇気を持って捨て去ることができるのが、やはり本当のプロである。

そうそう、余談だが、メイキング・ストーリーによると、サミュエル・ジャクソンのあの珍妙なヘアスタイルは、実在した黒人運動家の頭をモデルにしてるらしい。事実は映画より珍妙なり。ははは。