MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2003/09/21 「オープン・ユア・アイズ」/「バニラ・スカイ」

DVDで「オープン・ユア・アイズ」を見た。トム・クルーズ製作・主演の「バニラ・スカイ」は、97年製作のこのスペイン映画のリメイク。「バニラ」がなかなかよくできていたので、オリジナルを一度見たかったのである。

しかしびっくりしたのは、「バニラ」が実に細部に至るまで、「オープン」を真似してソックリ同じに作ってあるということ。もちろんアメリカ製作であるから、「バニラ」のほうが金がかかっており、豪華で、細部がリファインされている。しかし、ストーリーは細部に至るまで同じだし、印象的なシーンやカット割、小道具や撮影のアイデアまで、すべて「オープン」にあるものをそのままコピー。映画の冒頭、誰もいないタイムズ・スクエアのシーンすら「オープン」のシークェンスをそのままNYに持って来ただけとは知らなかった。

ここまで同じに作るというのは、よく言えば「いさぎよい」。しかし、悪く言えば、「恥ずかしげもなく」という言葉がピッタリくる気がする。「リメイク」とはいえ、普通はちょっとくらい変えるもんだと思うが。「コピー」というほうがふさわしいかも。ま、トム・クルーズとしては、原作と同じペネロペ・クルスを主演女優に据えて、相手役が自分であればどんな映画でもよかったのかもしれない。

もっとも細かい改善点はそれなりにある。主人公の親友役は「バニラ」のほうがずっとよい。「オープン」の主演、エドゥアルド・ノリエガはラテン系の色男であるが、クルーズの、いかにも自分が男前だと誇るような嫌味なニタニタ笑いのほうがこの映画の筋書きにはずっと合っている。事故でズタズタになった顔を隠す仮面だが、「バニラ」では白のマスクにして眉を取っただけで不気味さが増した。ま、これは現場にいる小道具係でも思いつくような細かい話だが。音楽も「バニラ」版のほうが印象的。ソフィアをベッドで殺してしまう場面では、「バニラ」の音楽が響いてくるような気がした。そうそう、ペネロペ・クルスは2つの映画に共通して同じ役だが「バニラ」のほうがずっと魅力的である。

ま、もっとも完成された映画があって、金をかけてそれの英語版を作るとしたら、これくらいやって当然というか。監督のアレハンドロ・アメナーバルは脚本・音楽と3役をこなしているのだが確かな才能を感じさせる。しかしスペイン語圏の人というのが泣き所。英語圏の人であれば、もっと以前に成功を収めていたに違いない。