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2004/07/26 「キング・アーサー」

日曜日は銀座に出て「キング・アーサー」を観た。劇場から出てなんだか納得行かない気分のまま歩いてると、地下街あちこちに貼ってあるこの映画の宣伝ポスターには、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジェリー・ブラッカイマー製作と売り文句が書いてある。これを事前にチェックしてたら見なかったかもなあ。

「アーサー王伝説」に忠実に題材を取ったのかと思い、ジョン・ブーアマン監督の名作「エクスカリバー(EXCALIBUR)」を思い出しつつ観たのもまずかった。

魔法使いマーリンとストーンヘンジ。石に刺さった聖なる剣を引き抜く従者の子。その子はやがてナイトに叙される若き日のアーサー王。王となってからの放浪の騎士ランスロットとの死闘。水の精によって甦る聖剣エクスカリバー。円卓の騎士。王妃とランスロットの恋。そして騎士達の聖杯を巡る探求。

今でも数々のシーンが鮮やかに記憶に蘇る名作。しかし今回の「キング・アーサー」には上記のようなシーンは一切出てこない。

要するに、5世紀のブリタニアに「アーサー」という王が実在しており、ローマ支配の終焉、アングロ・サクソンの進出など、当時の英国を巡る歴史のリアリズムあふれる演出ということらしい。ローマ帝国がヨーロッパを支配した頃でも蛮族しか住まない辺境の地だった英国。しかし、そういう徹底リアリズムで行くのなら、マーリンやランスロットやエクスカリバーという後世に神話となった固有名詞をあえてちりばめる必要もなかった気がする。「エクスカリバー」が実に素晴らしい映画であったことを再確認したというか。

もっとも俳優陣はなかなかの好演。アーサー王も、その騎士達も印象的ではあった。合戦のシーンの空も妙に記憶に残る。しかし、手元にあるアメリカで購入した「エクスカリバー」のビデオには、「John Boorman's astonishing vision of a time when magic ruled the earth」とある。こういう映画だと思って観たのがそもそも失敗というか。そうか、それはこっちの責任か。