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2004/11/13 「華麗なる一族」DVD。

本日は地下鉄で銀座まで。お昼を済ませた後で旭屋書店。買うべき本は特段見つからず。新刊書のコーナーには、山崎豊子全集の一冊「華麗なる一族」の箱入り美麗本が。しかし文庫本もまだ売ってるのだから、わざわざ全集の高い単行本を買う必要もないよなあ。

その後、「華氏911」のDVD買いにビックカメラまで。新刊DVDの棚に「華麗なる一族」のDVD発見。これも一種のシンクロニシティか。原作も文庫で読んだが、1974年製作のこの古い日本映画もSkyPerfecTVで一度見たことがある。懐かしくなって「華氏911」と共に購入。

帰宅して「華麗なる一族」DVDを鑑賞。関西に本拠を置く、阪神銀行を中心とする万俵財閥の総帥が、佐分利信演じる万俵大介。舞台はちょうど日本の高度成長まっただなか。芦屋の大豪邸(原作では確か芦屋の六麓荘だったか)に妻妾同居で住む万俵大介は、グループ中核企業、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平(仲代達矢)が、万俵財閥の原型を作り上げた実父と自分の妻との子供ではないのかという恐ろしい疑念を晴らすことができず、壮年になるにつれ先代に似てくる長男を憎み続ける。

銀行家としての飽くなき権力への野望。息子との骨肉の争い。寝室をも妻妾同居で共にする異常なる権力欲に満ちた怪物を、佐分利信が実に印象深く演じている。実父から疎んじられながらも自分の夢を追いつづける鉄平の仲代達矢も好演。日銀理事から都市銀行に天下った頭取役が二谷英明。誠実で潔癖な理想主義者ゆえに仲代達矢に肩入れし、結局万俵大介の野望の犠牲となる演技も記憶に残る。この頃の酒井和歌子は、実に可憐なお嬢様。しかし妙なできそこない関西弁イントネーションのセリフだけはいただけない。他の家族は誰も関西弁しゃべってないのに、なんで酒井和歌子だけ妙なイントネーションなのか不思議。

銀行家の権力欲と野望。政治の薄汚い取引。そして「小が大を飲む」自らの野望を実現させ、金融再編を先駆ける合併銀行の頭取に就任して得意絶頂の万俵大介。しかしその万俵の背後で、この新銀行を更に大銀行に吸収させてしまおうという政治家の密かな計画が進行している。ドロドロした政界、官界、財界の関係を描くドス黒い映画のラスト。いかにも山崎豊子らしい骨太で重厚なドラマ。3時間以上の超大作を一気に見てしまったが、実に面白かった。

監督の山本薩夫は、映画版「白い巨塔」の監督でもある。「戦争と人間」、「不毛地帯」、「ああ野麦峠」など大作を数多く手がけた巨匠であるが、1983年に逝去。昔の日本映画は、こんな大作が撮れたんだなあと感心した。