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2004/11/14 「コラテラル」を見た。

「コラテラル」 を見た。トム・クルーズの悪役が話題になっている。監督はマイケル・マン。前の「インサイダー」はなかなか印象的な映画。「アリ」は凡作であったと思うのだが。

タクシー・ドライバー、マックス役のジェイミー・フォックスが人間味あふれる役を好演。最初の女検事とのシークェンスはなかなか面白い。ただ、上手な演技なのだろうが、何を訴えてるのか分からない部分が少々あり、これは監督の演出なのかあるいは本人の個性か判断に迷うところ。クルーズ扮する殺し屋、ヴィンセントは今までのクルーズにはない非情な悪役だが、マックスとの奇妙な心の交流などにも説得力がある。アクション・シーンも実にカッコよく演じている。

L.A.で5名を次々と血祭りに上げる予定の殺し屋と彼に雇われたタクシー・ドライバーの一夜。映画そのものの疾走感が素晴らしい。夜のLAをバード・ビューで俯瞰するショットも実に美しく印象的。ロス市警の刑事達が出てくる現場など、随所にTVの「Cops」を見てるようなドキュメンタリー・タッチのショットがあり、妙な臨場感を盛り上げている。しかしクラブから出てきたところでこの刑事があっけなく撃たれるシーンにはビックリしたな。

夜の街を放浪するコヨーテに、ヴィンセントもマックスも自分達を投影するシーンや、乾いたウィットに富んだ会話など、なかなか印象的なシーンも多い。しかし、クルーズを雇ったマフィアのボスにマックスが代理で会いに行くシーンなど、あんまり説得力を感じられないシーンもまた多いのであった。ヴィンセントが語る哲学(?)に、なんだか手ズレのしたチープな香りがするのもちょっと気になった。まあ、これはやはり脚本の問題か。しかし120分できっちりストーリーを納めたことによって細かいアラは目立たない。

ごく小品ではあるが、観客を飽きさせない。ジェイミー・フォックスが予想外に熱演してやや食われたとはいえ、トム・クルーズの殺し屋も十分迫力と魅力を持って成立しており、別にクルーズ・ファンでなくてもちゃんと楽しめる映画。クルーズの魅力だけを考えるなら、「ラスト・サムライ」よりもこちらのほうが上という気がする。