風邪気味で体調悪いのに昨夜は大宴会があったりで、なんだか疲れる今日この頃。 最近、ずいぶん昔のアメリカ映画の名作がDVD化され、本屋などで500円にて販売されている。「市民ケーン」、「アラバマ物語」を購入。2枚で1000円安いなあ。 「市民ケーン」のほうはVHSも持ってるし何度も見ている。初めての「アラバマ物語」を鑑賞。「映画のヒーローと悪役ベスト50」という過去日記で触れたが、この「アラバマ物語」でグレゴリー・ペック演じるフィンチ弁護士が、アメリカ人の選ぶ映画のヒーローNo.1に選ばれているほど有名な1962年製作の映画。 大恐慌の影響が残り、貧困にあえぐ南部の農村。白人女性レイプの罪で逮捕された黒人男性の弁護を引き受ける正義の弁護士フィンチをグレゴリー・ペックが演じる。 グレゴリー・ペックの善人ぶりは、アメリカにおける一種の理想として印象には残るのだが、平板で深みを感じない面もある。なぜなら、この映画はフィンチ弁護士の娘が父親との思い出を回想するという視点で描かれているから。強くてやさしく、誰にでも親切で、正義をつらぬいた大好きだった父親。懐かしい記憶に残る娘から見た父親像が、少女の頃の視点でそのまま描かれている。 ペックの弁護により冤罪は明らかであると思われるのだが陪審は黒人被告に有罪を宣告。判決後、上告の手続きを取ろうとするペックに保安官助手が近づき、この黒人がさっき死んだと告げる。拘置所に送られる際脱走を図り、威嚇射撃が当たってしまったのだと。黒人差別をテーマとした現代のサスペンスなら、これは保安官による処刑だと真相が明らかになるところであるが、この映画ではそれ以上の追求は描かれない。それもあくまでこの事件の顛末が、少女が父親から聞いた視点で描かれているからのように思われる。一種のどんでん返しとも思える皮肉な結末もなかなか面白い。少女役が実に印象的だった。 |