MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2005/08/01 「タップス」DVD

昨日の午後は、外出する気力なく部屋でのんびり。DVDで、「タップス」を見た。昔、劇場で見た時にはなかなか印象的。期間限定999円セールでだいぶ前に購入してそのままになっていた。

多くの卒業生を士官学校に送り出した伝統ある私立のミリタリー・アカデミーが、理事会の決定により閉鎖され、その土地は開発のために不動産業者に売却されることになる。閉鎖に抗議する生徒達は、武器を取って立ち上がり、決定の撤回を求めて学校を占拠。警察、州軍が制圧のために出動し、事態は彼らのコントロールを超えて紛糾して行く、というストーリー。

校長を勤める老将軍役のジョージ・C・スコットがよい。「博士の奇妙な愛情」の頃は元気にあふれていたが、すでに枯れ、理想と老残をないまぜに体現する退役将軍を印象的に演じている。

主役は「普通の人々」でアカデミー助演男優賞を獲得した直後のティモシー・ハットン。将軍を崇拝し、名誉を何よりも貴ぶことを叩き込まれた彼は、ミリタリー・アカデミー閉鎖に反対し、アカデミーの学生を統括する指揮官として武器を取ることを決断する。

訓練ではなく実際の武器を取っての部隊指揮、揺れ動く部下の離反、幹部間の争い、州軍との交渉、そして部下である少年の死。疾走する数日の凄まじい出来事は、理想に燃えた少年を、有能でタフな青年将校へと成長させ、最後には打ちひしがれた敗軍の将に変える。少年の理想と現実とのギャップ、その悲劇的な相克を描いた印象的で残酷なドラマ。ティモシー・ハットンは、この純粋で脆い、少年と青年の狭間を駆け抜けた主人公を好演している。少年の理想に理解を示しながらも、現実を代表する者としてハットンの説得にあたる州軍指揮官も地味ながら印象に残る。

ハットンの同級生を演じる脇役が、ショーン・ペンとトム・クルーズというのも今にしてみれば豪華な布陣。当時はハットンのほうがずっとビッグ・ネームだったのである。しかし、その後はあんまり名前を聞かないような。ネットで検索すると、こんな紹介が。
その後「タップス」、「ロングウェイ・ホーム」と順調に思えたが以降はパッとせず、86年に結婚したデブラ・ウィンガーとは89年に離婚。
「以降はパっとせず」とひどい書かれようであるが、映画では最近あんまり見かけない。人間万事塞翁が馬を感じさせる栄枯盛衰ではあるが、この頃から、トム・クルーズは一種独特のオーラを放ち、実に印象的な人物を演じているのであった。

題名の「Taps」とは、軍隊葬時の鎮魂ラッパの意。大作ではないのだが、印象に残る映画。