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2005/11/20 「バタフライ・エフェクト」DVD〜もうひとつの結末

「バタフライ・エフェクト」をDVDで。劇場で見た時の感想は過去日記にも書いた。

過去を自由に行き来し、幸運と悲劇の繰り返しをローラーコースターのように疾走する物語。タイムパラドックス系SFスリラーとして、実によく出来ているという感想は再見しても同様。そしてこのDVDには興味深いことに、ラスト・シーンがまったく違うディレクターズ・カットが収録されている。

共同で脚本・監督をこなしたエリック・ブレスとJ・マッキー・グラバーは、このオリジナルの結末にこだわったが、結局のところプロデューサーのビジネスを考えた意向で、劇場版のエンディング(ハリウッド・エンディングと彼らは呼ぶ)を受け入れたのだという。

ディレクターズ・カット版のオリジナル・エンディングは、劇場版よりもマニアック。劇場版は、自己犠牲により初恋の女性を救う一種の悲恋物語として成立していたのだが、オリジナル・エンディングは、sacrifice:自己犠牲のレベルが更に進み、悲恋というよりも奇妙な悲劇に一歩踏み込んだ仕上がり。どちらの結末が優れているかは難しい判断であるが、一般的に受け入れられるのはやはり劇場版だろう。

劇場版にも、主人公が母親と冗談で占い師に会い、「あなたには生命線が無い」と言われる場面がある。オリジナル・エンディングはこの伏線を生かしたもの。言われてみればそれで筋が通るのだが、劇場公開時には、あの占い師の伏線が矛盾あるとも思わなかった。なにしろ過去を自由に行き来できる能力を持った男の話なんだし。

このDVDが面白いのは、特典映像として、劇場版エンディングの候補として検討されていた更に2つの違うバージョンが収録されている点。「Stalker ending」と「Happy sappy ending」と称する。「Stalker」は、これを見たら誰でも、"Hey man, you're making the same mistake again"と言うだろうなあというもの。「Happy sappy」はいくらなんでも都合よすぎて映画の感興を大いに削ぐ。そういう面では、やはり劇場版がちょうどよかったかもしれない。

主人公の恋人ケイリーを演じたエイミー・スマートは、決して美人ではないのだが、DVDのオリジナル・エンディング最後、夕暮れのウェディングでの笑顔が本当に可憐で素晴らしい。このエンディングであっても映画は十分成立しただろうと思わせる場面。特典映像満載でなかなか面白いDVDであった。