(007 / カジノロワイヤル) 機内で見たので感想など。なぜか新ジェームス・ボンドは、オックスフォード出たMI6の工作員ではなく、モスクワ大学出たKGBに見える。プーチンにちょっと似てるからかね。 一頃は宇宙を舞台にしたこともあった従来のシリーズに比べ、今回の007物話の舞台とそのスケールは小さい。もっともイアン・フレミングの原作自体が、そもそもヨーロッパの観光地を巡るかなり小さな世界を描いているのだから、原点回帰とも言えるだろうか。題名通り、カジノでのポーカー(?)の場面が多いのだが、ルールを知らないもので、どこが手に汗握る駆け引きのポイントなのかあまり分からなかった。昔見た「麻雀放浪記」は、麻雀知らなくても実に面白かったのだが。 腕にはオメガ、PCはバイオを使い、手にはソニー・エリクソンの携帯を持つボンド。タイアップが露骨なのも面白い。もともとジェームス・ボンドの物語は、イアン・フレミングが作り上げた男の寓話。ヨーロッパの風光明媚な高級観光地を舞台に、スパイが暗躍する。そして、高級車や美食と同様、使い捨てにされるアイコンとしての女達。 今回の映画が面白いのは、若きスパイが007となるまでに焦点を当てて描いたという部分。たった一人本気で愛した女の手ひどい裏切りとその死。若き敏腕スパイ、ジェームス・ボンドの心を石に変えたエピソードを描き、映画の最後は、「My name is Bond, James Bond」という、お馴染みのセリフで締めくくられる。人間臭いボンドから、007の誕生までを描いた、なかなか印象的な映画だが、二作目以降作るとしたら、また昔の趣向に戻ってしまうんだろうか、 |