昼飯を取りに外に出た後、部屋に戻って、のんびりと先日購入した「もののけ姫」のビデオを見る。20億以上と言う、スタジオ・ジブリの作品としても破格の制作費がかかった作品だそうだが、実写で同じ事をやったら、もちろんそんな金では済まなかっただろう。そういう面では、アニメの可能性には、素晴らしいものがある。
しかし、どうも、背景は、いまいちなような気がする。いや、大きなスクリーンで見れば、奇麗だろうし、ビデオでも、それなりには奇麗なのだが、昨今では、セルに絵の具塗った背景よりも、コンピュータ・グラフィックスのほうがずっとリアルな質感に見えると言う事かもしれない。
実写とCGの融合は、最近のアメリカ映画を見ても凄まじく進化しているのは映画ファンにはおなじみだが、アニメとCGのほうはどうなんだろうか。アニメの事はとんと詳しくないので、はっきりしないが、いまだに人間がセルに線画を書いて着色するのが主流の手法なんだとしたら、CGを導入したら、すいぶんと品質と生産性が上がると思うのだが。
余談だが、実写とアニメの融合と言う試みは、今まで何度も失敗したのにかかわらす、アメリカ映画にはしつこく試みる輩がいて、この間も、マイケル・ジョーダン主演で変なのをやっていたが、あれはコケたんだっけ。
物語の本質とは関係ない些細な事について言うと、(まあ、アニメファンでも無いし、言う必要もないのだが)山犬やイノシシなどの動物の動きが、何十年も前に制作されたディズニーの映画に比較しても、ぎこちない。やはり、この分野では、ディズニーはいまだに他の追随を許さない。これは実際、凄い事だ。
日本でアニメの作画をする連中は、化け物や、ロボットや、宇宙船や美少女は得意なのかもしれないが、基本的な動物の動きなんて一から勉強する人はきっともういないんだろう。もっとも、アメリカにだってもういないだろうが。今のハリウッドに「もののけ姫」を作れと言ったら、実写をキャプチャーしてからCG化して制作したかもなあ。そこまですると、なんでアニメにせなあかんか、と言う根源的疑問が生じてくるにせよ。
ストーリーのほうは、「もののけ」が、まだ「もののけ」として畏怖されていた時代に舞台を設定して、神秘な森の力を体現する神獣シシ神、森に住む半神半獣の生き物達、自然を自由にする力を手に入れはじめた人間達、3者の葛藤を軸に、自然と人間との共存はどこまで可能かを問う。まあ、そう言うところか。「風の谷のナウシカ」や「ととろ」と基本的には同じテーマなだけに、手堅く、こなれたストーリー展開で飽きさせない。確かに見る価値はある。反面、あんまり新味が無いような気がするのが難点だと思ったが、なにしろ興行収入は凄かったらしい。映画と言うのも分からないもんだ。
個人的な妄想を言うなら、古代の森深く、平穏に住んでいた日本古来の神々は、鉄や火薬といった人間の技術によって追われたのではなく、奈良の地に、目を見張る朱色のとてつもない巨大建築や、金色に輝く仏像を打ち建てて降臨したインド生まれの仏教神達によって、森の奥深く追われ、そして死に絶えていったような気がする。まあ、そうして君臨した異国の神々達も、今の日本ではすでに死に絶えてしまったのだが。
そう言えば、早いもんで、明日は参議院選挙ですな。ツルネン・マルテイは頑張っているだろうか。こっちのほうにはちっとも来なかったようだが、今回も駄目かなあ。まあ、私の場合は、参議院は、カウンター・バランスとして、政党に関係無い変った奴がいてもいいという考えで、政策にはこだわらずツルネンさんに一票入れる予定ではいるのだが。