早めに夕食を取った後、おくればせながら、駅前の映画館で「ディープインパクト」を見る。ワシントンDCのTV局のキャスター見習いの女性が、ひょんな事から聞き込んだ財務長官辞任の原因に関する特ダネを追ううちに、彗星が地球に衝突する対策を政府が機密裏に進めていた事実を探り当ててしまう。と、ここまではなかなかテンポよく期待を持たせたが、その後はダレダレ。
個人的には、秘密裏に人類救済計画を進めようとする政府内部での葛藤や、シェルターに入る人間の選別計画にまつわる政治的なかけひきや大統領の苦悩、不穏な軍や国際政治の動きなどを、レポーターが追いかけて行くうちに、段々と計画の全貌がジワジワと明らかになってくる、と言う政治サスペンスでギリギリ最後のほうまで引っ張ってから、ドカンと彗星激突に持っていったほうがよかったと思うけどなあ。
ま、スターウォーズじゃないんだから、降りかかる岩石を避けながら、宇宙船をあやつって彗星の核に到着なんてシーンを延々やっても、あんまり現実感がない。宇宙船の中で「白鯨」を朗読するシーンなんかも、実に間延びして理解に苦しむし、女性レポーターの父親の再婚を最初に色々描いた割には、最後のシーンの盛り上がりにはあんまり役立っていない。
もっとも、小彗星が大西洋に衝突するシーンだけは、なかなかよく出来ている。恐竜全滅の謎を解くネメシス仮説なんかを説明する時のビデオとして貸し出せば、なかなかいいんじゃないだろうか。
帰宅してから、「絶滅のクレーター Tレックス最後の日」をもう一度取り出してきた。6500万年前に恐竜が絶滅したのは、この映画のように、小惑星が地球に衝突したせいだ、と言う仮説を解説した本だが、映画のように直径10キロ程度の小惑星が地球にぶつかるだけで、生物相には壊滅的な影響があるらしい。
そう言えば、つい最近も木星にシューメーカー・レビ彗星が衝突したよなあ。天文学的な時間で考えれば、人類が文明を築いてから、一度も壊滅的な小惑星の衝突に見まわれていないのは、単なる偶然と言っていいくらいだ、なんて言う専門家もいるらしい。
まあ、いきなり衝突して大変な事になるのもなんだから、ここは全世界の天文マニアに毎夜頑張ってもらって、早めに見慣れない天体の接近が見つかる事を祈るしかないかもしれない。