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2002/11/05 寿司日記 パリ特別編 「衣川」

パリでも寿司を食べに行ったので、特別編として寿司日記を更新しておこう。寿司日記 パリ特別編 「衣川(きぬがわ)」である。はは。

インターコンチネンタルから徒歩2分の日本レストラン「衣川」。1階の一番奥が寿司カウンタで、その奥が調理場。テーブル席は2階が主体のようだ。事前に予約してたので、寿司カウンタに案内される。

隣には、物も言わずに天ぷら定食と白身魚の照り焼きをガツガツ食っている日本人のオヤジ。異国の地で、かなり長いこと日本食を絶ってたと見える。なんか、見るに耐えない気の毒な感じというか。しかし、女性は外国にもすぐ適応して、向こうの食事が続いても平気なのに、なんで男はカラッキシなのかね。ま、自分も含めて。男は哀れですな。ははは。

ガラスのタネケースには、マグロ、白身、タコ、エビ、イカ、サバと一通り魚が揃っている。

カウンタの中心で握りながら、奥の調理場の段取りまで、あれこれ指示しているのは、フランス滞在長そうな眼光鋭い板前。寿司専業ではないので、板前と称するほうが正しいだろう。他にも日本人の板前が4名ほど。なかなか大きな店。

フランスの寿司屋事情を問うと、ブームで、寿司を出す店はパリだけで300店以上あるが、9割がたは、箸にも棒にも引っかからないと辛口の意見。見よう見真似で寿司を出す、中国人や韓国人経営の店も多いのだと。

このへんはアメリカも事情が一緒で、間違えた日本語を平気で店名に使ってるところもある。ま、もっとも、日本のフレンチレストランの名前でも、フランス人が見たら大笑いというのがきっとあるだろう。

冷酒を頼んで、まず刺身を盛り合わせで。中トロ、サーモン、スズキ、イカ、サバと切ってきた。マグロは、ヘタな日本の寿司屋より、脂の入り具合も色つやもよいが、身が固い。地中海産の生マグロだが、大物はすべて日本の商社が買い占めてしまい、フランスに回ってくるのは20キロ程度のものしかないのだとか。

サバは、いわゆる英語でマッカレルと称する、スーパーにも売ってる小さいもの。日本のサバと同じかどうか知らないが、皮目の模様は濃い。酢でかなりしっかり〆てあり、まあ、きちんとサバの味がする。白身は、スズキの他にヒラメなどもあるとのこと。昆布〆などにもするらしい。ここの魚は日本からの輸入は無く、すべて、地中海、スペイン沖など、ヨーロッパで入手してるものだというが、板前の工夫が色々とあるようだ。

サーモンは、こちらでも十分に流通しており、脂が乗ってなかなか結構。刺身ばかり続けるほど種のラインアップがなさそうなので、アマダイに似てるというフランスの魚の塩焼きを所望。ごく軽い上品な脂が乗り、塩加減も秀逸で、なかなか美味い。フレンチでもよく使うという。

野菜の煮物を貰い、握りに入って、まずトロ。炙ってもらおうかと思ったが、見かけでは脂一杯なのだが、炙るほどの脂はないとのこと。煮物はアナゴではなくウナギ。しかし、ツメを塗って食すると、これも、特に悪くはない。日本の回転寿司よりも、ずっと秀逸である。しかし、最後に頼んだ新香巻きは、なんだか海苔の香りがしないのが難点。まあ、フランスの寿司屋では、しかたないか。

寿司では、全体的に、シャリが冷たい。開店してすぐだから、冷めてるのではなく、最初からサマしてると思うのだが。アメリカの食品衛生局でも食品の温度と保存時間についてはうるさく、人肌の酢飯は、酢が入ってるから大丈夫だと説明しても、立ち入り検査で保存時間についてうるさく指導される例があるらしい。あるいは、シャリが温かいと、フランス人がより生臭みを感じるのだろうか。

パリの地で食べる寿司としては、なかなか結構なもの。しかし、勘定は一人100ユーロを超えるわけで、やはり、これまた結構なもんである。