昨日は、久しぶりに上野毛の「あら輝」。前回訪問が9月の21日だから、ずいぶんとご無沙汰してしまった。いつもの時間に店の戸をくぐる頃には、日はとっぷり暮れて、季節の移り変わりを感じる。 すでに親子連れ3名の先客あり。「きよ田」の常連だった模様。子供はまだ4つらしいが、途中で寿司に飽きて、店のじゅうたんにトランプを広げて遊び始める。お金持ち夫婦が、「個性を尊重して」、「のびのびと」、「自由に」育ててる風情あり。昔風に言うとまた別の表現になるだろうが。 日本酒を冷で飲みながら、おまかせでツマミ。「明石です」と出してきたのは、もちろんタイ。1.7キロだが、たいへんに太っていたとのこと。ごく上品な脂と香り高い白身。湯引きした皮と身の間に味がある。素晴らしい。ここで、まず最初にツマミで出される白身の品質には、いつも感心する。あまり握りに使ってるのを見ないが、ツマミ専用に採算度外視で仕入れてるのだろうか。 アワビはシーズン終了で、トコブシの塩蒸し。これも美味いが、香りと滋味はアワビにはちょっと及ばない。イクラとウニ。生イクラも皮が柔らかく、たいへんに美味い。サバの次は、軽く塩をしたアジを炙って。マグロの赤身。これも旨み十分。赤貝、タコの柔らか煮と続く。 このへんで握りに移行。まず最初は、いつものようにマグロを連発。シャリの具合もよく、実に美味い。煮切りも、実にマグロによく合う。用事があって、店は月曜から1週間ばかりお休みするらしい。結構大きな固まりで仕入れてるが、マグロが使いきれるかどうか他人事ながら不安だな。ははは。 コハダはごく浅い〆。エビは茹でたてを尻尾の部分を外して。いつもながらここの酢飯にはよく合う。スミイカは塩で。タラ白子を炙ったものを軍艦巻きにして。江戸前の本流にはない寿司ではあるが、これが最高に美味い。皮目を炙ったハゼ。肝を添えて。人形町、喜寿司でも使うようだが、これも冬だけの種だ。 煮ハマグリはツメなしでもしっかり滋味深い。アナゴは、半分はシオで、半分はツメをつけて。最近の「しみづ」と同じ趣向だが、流行なのだろうか。最後にまだ入りますかと、マカジキが1貫。本マグロとは違った赤身だが、あっさりして美味し。堪能して店を出た。 |