昨日は、そろそろ帰るかと思ったら、仕事がドタバタして会社を出たのは8時過ぎ。空いてたら「新橋鶴八」で飲んで帰るかと電話したら、満員とのこと。まあ、金曜日だしなあ。 地下鉄で銀座に出て、東芝ビル地下の「たぬき」。ここはごく普通の街場の寿司屋。かすかに場末感漂う東芝ビル地下とはいえ、一応銀座で、飲んで食べて8千円見当。職人も温厚だし、フラっと行ってもたいていカウンタに座れる。江戸前極上の仕事を期待しては酷だが、使い勝手のよい店である。 冷酒を飲みつつ、ツマミはホウボウとヒラメ。ヒラメは身もしっかりして脂ものり、なかなか結構。タラ白子焼き。ミル貝(白)サバと切ってもらう。その後で、握りをいくつか貰っておしまい。酢飯は、かなり甘いし柔らかく、ちょっとベタっとしている。このへんが、街場のごく普通の寿司屋と、古式を残すキチンとした江戸前の微妙な差というか。ホロ酔い加減で帰宅。 藤田さんからの、萩は見島で上がる本マグロについて頂いた「マグロメール」を読む。昔は80キロの物しか上がらなかった漁場で、急に次々と250キロを越す脂の乗り切った本マグロが上がりだす不思議。これは本当に天然マグロなのか。萩マグロを巡る藤田さんの追跡物語は、相変わらず面白い。 本日は9時過ぎまで寝ていたが、朝風呂入った後で昼から出社。残務整理と資料の来週の会議に出す資料のチェックなど。 夜は、「しみづ」。 いつも通りお酒を常温で。付きだしは、ザル豆腐を塩で。親方と「マグロメール」のことなど語りながら、ツマミは、まずヒラメ。カスゴを細かく切り、スダチを軽く絞って。淡い味の白身を酢で軽く〆て凝縮した旨み。 タコは珍しく桜煮。そろそろ身がカスカスになり、いつもの塩茹でだけではちょっと物足りないので、とのこと。平貝は炙って。香ばしさが淡白な身の味を引き立てる。子持ちヤリイカの煮付けはツメをつけて。牡蠣煮びたしは、実に立派な身で海の滋味がしみじみと。お勧め以外で何か、というのでサバを貰ったが、全盛期のあのフックラと腹まで柔らかいサバに比べると、やや脂も抜けて身も固いような。 このへんで握りに移行。マグロは、かなり稠密な脂が入っている、「ヒレ下」の辺とのこと。事前にあった「マグロメール」の通り、勝浦(笑)。上品な脂で美味いが、確かにいつもに比較すると、もう一段の奥深いコクが足りないような。足りないのは酸味と言われればその通り。あるいは、上質の血の味が凝縮したような深みというか。もっとも、これでも凡百のマグロよりもずっと上質なのだが。 コハダもアナゴもカンピョウ巻も、あいかわらず素晴らしい。堪能した。 |