昨日の夜は、「しみづ」巡回。予約した7時に入ったが、満員の盛況。突出しはザル豆腐。まずヒラメ。乳白色が混ざったピンクの身は、切りつけるとしっとりと透き通るようで上品な脂が乗っている。珍しくシマアジ。見かけはかなり脂が入っているが、アッサリと、ツルンと下の上をすべる身。実に美味い。 ここのエビは注文があってから茹でる。別のお客のエビを握るところを見るともなく見ていると、尻尾を外している。はて、前から外してたかなと確認すると、最近そうしだしたとのこと。この店の握りも刻々と変化している点があれこれある。 平貝の炙りは、かなりしっかり火が入っているが、身の滋味が凝縮して美味い。カキの煮びたしの後は、アジの炙りポン酢。冬にアジというのはこの店では珍しいが、なかなか立派なアジだ。子持ちヤリイカの煮付け、煮ハマグリと貰ってツマミ終了。 マグロは九州定置網。中トロ部分だが、コクも旨みもあって結構。肉厚のコハダもしっかりした〆具合が最高。アナゴもカンピョウ巻もいつもながら美味い。ホロ酔い加減で店を出る。 帰宅して、いまは無き有名寿司店、「きよ田」のことを描いた「ひかない魚」を本棚から出してきて再読。店の実態について、ここには書けないようないろんな裏の話を聞いてから本を読むと、これまた面白い。確かに、「江戸前の寿司屋は、マグロとコハダとアナゴだけキチンとやればいい」と書いてあるから、白身には、あんまり力が入ってなかったのだろう。店についても、確かに自分がオーナーだとは書いていない。自らの修行経験についてまったく書いてないのも不思議といえば不思議。 ここの親方は、自己韜晦にたけた演出家だったのだろう。「人たらし」の腕も凄い一種のカリスマである。みんなが涙を流さんかのように感動して、日本一高い勘定を喜んで払っていたというのも、実に不思議なことだ。しかし、今となっては、一度くらい行ってみたかったなというのが感想。ま、作家や医者や芸術家や企業の経営者なんかでなければ、相手にしてもらえなかっただろうが。ははは。 |