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2003/05/02 築地本願寺脇「つかさ」

一昨日の夜は、映画を見た後、築地の本願寺脇、「鮨 つかさ」を訪問したので記録を。ここは築地の仲卸、フジタ水産の藤田さんお勧めの寿司屋で、メールで教えていただいたのであった。電話で予約して夕方の開店と同時に訪問。店は親方ひとりきりで仕切る。カウンタは7席。ゆったりとした構え。奥には小上がりもあるとのこと。

客は私ひとり。怪しまれても困るので、「あの、マグロの藤田さんからお店の名前を伺いまして」と挨拶すると、「ええ、藤田さんから聞いて、わかってましたよ(笑)」とのこと。

日本酒は白鷹。常温で飲みつつ、ツマミをおまかせで所望。突き出しはタコの柔らか煮。にこごりと一緒に供されるのだが、なかなか美味い。まず出た白身はハタ。長崎だとか。アラのような身の質感。ちょっとクセがあるがそれが旨みになっている。エッジも立って身も透き通り、歯応えもあるのだがさばいてから4日目と聞いてびっくり。そもそも仕入れてすぐはゴリゴリして使い物にならないが、熟成が進むと旨みが増すとか。

天然物のシマアジも、2キロを超える大きいものはしばらく寝かすなど、他のお客さんがいないのでずっと親方と寿司談義。たいへん陽気で気配りがある人物。寿司の話をすると止まらない風で、実に仕事熱心だ。

小柱。シロイカ。シロキスの酢〆ともらう。どれも結構。シャコ。玉子。トリ貝。玉子はいわゆるだし巻風。トリ貝も立派で春を感じるスッキリした甘味が美味い。誰も客が入ってこないので、親方とずっとしゃべりながら酒を追加していたら、かなり酩酊してしまった。「しみづ」さんほど忙しくないので、夜でも当日電話してもらえば必ず入れますよと親方は妙な太鼓判。まあ、確かに寿司屋ってのは思いついた時にフラっと立ち寄りたい場所ではある。

このへんで握りに移行。握りは煮切りを塗って1貫づつ供される。まずマグロを脂の具合変えて2貫続けて。柔らかくシットリして旨みがある。「しみづ」と同じ系譜を感じるフジタ水産のマグロである。スミイカはシーズン最後だとか。夏の終わりには新子が出るから確かにそうだろう。パキパキした質感と甘味が結構。

ここの酢飯はツヤツヤと真っ白。スッキリと薄い味付けで美味い。握りの具合も軽く、いくらでも入るという感じがする。木のシャリ桶はずいぶんと年季が入ってるように見えたのだが、開店した4年前から使ってるとこういう風になるのだとか。ふむ。アジ、コハダ。コハダはやや軽い〆だがこれはこれで美味い。赤貝のあとでアナゴ。アナゴは割と濃い煮上げで柔らかいが、ツメの具合か炙りのせいか、ごく微妙な雑味を感じた気がした。

途中で入ってきた3人のお客のうち1名は、まさに江戸育ちというような威勢のいいおバアチャン。TVのアナウンサーのアクセントが違うと、江戸っ子らしい気の早さですぐに放送局に電話して文句を言うらしい。病気の話になると、「ああ、ムラサキの鉢巻ね」と出てくる。「病鉢巻(やまいはちまき)」という歌舞伎の決り事。なかなか粋ですな。はは。

最後にカンピョウ巻を貰って〆。カンピョウはしっかり味がついており美味い。海苔もいいものだが、当日に炭火で炙る「しみづ」のに慣れてると、ごく微妙だがヒヤっとした生臭さを感じてしまう。もっともこれはこの店だけでなくほとんどの寿司屋で感じることなのだが。

握りも堪能したのでお勘定。最初にずっと寿司談義しながら飲んでたので2時間以上滞在したことになってしまった。寿司種の種類はある程度限定されているが上質で、大変よい店。居心地もよい。ただ親方ひとりで仕切るので、お客が立て込んだ時は客あしらいが遅くなるかもしれない。タクシーで帰宅するとメーターは1000円行かない。近いなあ。また会社帰りにでも立ち寄ろう。ははは。