土曜日のお昼は「しみづ」巡回。お昼にこの店に来るのは初めて。清水親方は、マグロ中卸の「フジタ水産」主催「大間マグロツアー」に参加して不在。弟子のダイスケ君が練習がてら店を開けるというので、のぞきに来たのであった。「のれん」は下げてある。知らないお客さんは断って、顔見知りだけに営業。彼は、いつもは親方の手助けだけで握ってるところを見たことない。大丈夫かと心配したが、影ではかなり練習を積んでるようだ。そりゃまあそうだろうなあ。他の常連さんに握ってるところを見ると、なかなか堂に入っている。 昼間ではあるが、どうせ夜には日本脱出。お酒を常温で飲みつつツマミから。九州のタイは脂の乗りも香りも素晴らしい。カツオもいつも通り藁のスモークが効いて美味し。タコ、アワビ、サバも結構。小柱は芥子味噌でワケギと合えてヌタにする新趣向。昼酒はよく回る。適当なところでお茶に切り替えて握り。まずタイを1貫。そのあとはいつも通り。マグロは大間。相変わらず素晴らしい。握りは親方よりもやや小ぶりな気がするが、左手親指を効かして、なかなかきちんとしている。コハダの1貫にはオボロ挟むなど自分なりに工夫しているようだ。煮切りのつけかたは親方とちょっと違うのだが、これは意図してこうしているのだろうか。興味深い。寿司種そのものはもとより同じであるからいつも通り素晴らしい。 「昔は意地悪な客がいて、ツマヨウジで握りを差して食ったりしたらしいね。ちょっと試してみるか」などとつまらん冗談をいいながら過ごしたが、一部バタバタするところはあるものの、総じてソツなく仕事しており、今までの本人の研鑚が伺える。 ダイスケ君は、「もう頭の中が真っ白です。燃え尽きました」と言うのだが、親方留守の営業はこのお昼だけではない。土曜の夜、日曜の昼、夜と、常連や知り合いが続々と「励ましに」来るらしい。大変だろうが得がたい勉強。頑張ってほしいもんである。 タクシーで部屋に戻って最後の荷造り。熱い風呂に入って酒を抜く。ま、どうせまた入るのだが。4時半にタクシーを拾って東京駅まで。昭和通りで何か知らないがパレードをやっており、渋滞してあやうく電車に乗り遅れるところだった。 成田第2で荷物をチェックインして時間調整のため、「寿司田」で一杯。昔はここでもなかなかよいと思ったものだが、今ではもうダメだ。きちんと仕事をする素晴らしい寿司屋に慣れると、こういう大手チェインの雇われ職人の仕事ぶりが、いかにも居汚く、覇気もなく、ぞんざいに見えてしかたない。しかし、インドマグロの中トロだけは、存外バカにできない品物。もっともそれ以外には、あまり見るべきものはないのだが。飛行機に乗ったらすぐに眠れるよう冷酒300mを2本。 出国審査はガラガラ。カンタス便も定刻通り出発。食事も断って、11時から朝の5時までずっと眠り続けた。パース到着も定刻通り。雨の予報と聞いていたが、澄み切った抜けるような青空。いつも思うことだが、オーストラリア西海岸の気候はアメリカ西海岸によく似ている。いや、ひょっとするとそれよりも少し快適かもしれない。これからのんびり休暇である。しかし、モデム接続がうまくゆかず、メール送るのも一苦労。常時接続がいかに快適なものか、骨身にしみる。いやはや。これもちゃんとアップロードできるかな。はは。 |