昨日の夜は「しみづ」巡回。本来ならば、海外から帰った日はここに直行する習慣なのだが、土曜日はたまたまずっと前に「さわ田」の予約が入ってたのであった。5時2分頃に入店したが、カウンタは私の席以外すでに満杯でガヤガヤ。たいへんな盛況。予約の電話も昼過ぎからひっきりなしだったらしい。 「先週はお世話になり、どうもありがとうございました」と親方が。のれんを上げず常連のみの商売とはいえ、お弟子さんに仕事をやらせるチャンスを与えるというのもなかなかできることではない。徒弟制度のような昔の修行では、それこそ考えられなかっただろう。寿司屋の世代も着実に変わっている。 親方やら奥さんに、ずいぶん日焼けしましたねと言われる。パースの天候は晴れ続きではなかったのだが、やはり紫外線が多いのだろうか。 日本酒常温で飲みつつ、ツマミをおまかせで。つきだしはきぬかつぎ。白身はヒラメとタイの昆布〆。日曜夜の白身は昆布〆になってることが多い。あればいつも素晴らしいものを置いてあるが、江戸前の握りでは本来それほど白身に重きを置かない。この店も白身に関しては割と恬淡としているかもしれない。しかし熟成した旨みが実に結構。 同席したお客には、4名で来て、握りを1貫づつ口々に頼む(しかも頼むのがおもしろいほど全員バラバラ)というグループあり。こういうのも大変だろうなと愚考するが、嫌な顔ひとつ見せずに応対するのは、商売とはいえ実にエライもんである。 北海タコは桜煮に。塩茹でだけで素晴らしい香りを発する江戸前のタコはもう少ししたら出てくる。サヨリも旨みがのってきた。サヨリの皮を炙って。他の店では見たことあるが、この店でこういうものを出すのも珍しい。皮目に旨みが凝縮してなかなかオツな味。漬け込みのシャコは実にフックラと。スミイカゲソを炙って。焼霜と生と両方出るサバも旨み十分。ハマグリも柔らかく美味い。対馬の塩ウニは食べたの初めて。これまた酒によく合う。イカの塩辛は慣れ親しんだいつもの美味さ。 店も立て込んでるので、このへんで握りに移行。「今日のマグロは、どこのか分かりますよね(笑)」と親方が。そう、「さわ田」同様、先週の大間で上がったマグロだ。まず赤身を1貫。酸味も渋みもコクもあって素晴らしい。そして中トロの部分を2貫。口中で溶ける脂、シットリした中に旨みとコクが凝縮され、これがまた酢飯とよく合う。巡回する寿司屋の中で、マグロに関しては「しみづ」が最高だといつもそう思う。コハダ、アナゴも安定した仕事。カンピョウ巻も素晴らしい。毎回同じようなものしか食べないが、この店に来ると、懐かしい場所に戻ってきたような安心感がある。寿司屋巡回する定点観測のホームグラウンドとして素晴らしい店だ。 |