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2004/03/06 中野坂上「さわ田」巡回

夜は、久しぶりに、中野坂上「さわ田」。なかなか予約が取れないので、どうしても間隔が空く。いつもは5席だが、本日は6席すべて使用。お酒は麒麟山の常温、塩の皿にはスダチ無し。親方もよく覚えているものである。

つきだしはシラウオ。刺身はまずヒラメから。軽い脂だが、透き通った身は程よい熟成。塩でも美味い。縁側も実に大きい。愛知産だというトリ貝は、触れるだけで円形に丸まってしまうほどの鮮度。甘味があって爽やかな春の香り。酒蒸しのアワビは葉山の密猟だとか。そんな物食べてもよいのかという気がするが、大きく立派な身。いつもより濃い目の味付けだが、切りつけて目の前に置かれたとたんに芳醇な海の香りがする。旨みもしっかりとある。季節外れだが、酒煮にしても身が縮まずよい物だったとのこと。

ミル貝は軽く塩をして炭火で炙って。カツオはもう房総で取れたもの。軽やかな脂と爽やかな香り。ごく軽いワラのスモークもよく合う。北海道のウニは塩水につかったまま供される。この海水がまるで出汁のようで妙に美味いのが不思議。そろそろシーズン終りの平貝。炭火で炙ると一段と香りがよい。七味を振って。ここの貝はみんなそうだが、焼く前に触れると、身がどこの寿司屋でも見たことないほど収縮する。蒸したというアワビ肝。このわた塩辛、軽く炙ったクチコなど、酒のアテによく合うものが続いてお酒は3杯目に。

軽く酢〆にしたカスゴは、大葉、ミョウガ、芽ねぎと合わせて海苔で巻く。荒天で飛行機の着陸が遅れたという九州からのクール宅配便は営業が始まってから到着。中にあったのは実に立派なタイの背の身。某有名寿司店と共同購入だとか。明日以降のほうが熟成進んで旨みが出るとのことだが、少しツマミでもらってもなかなか上品な脂で結構。マグロが難しい時期だからか、本日は炭焼きステーキ風に炙ったトロは無し。サバも姿を消した。心なしか炭火の活躍も印象薄いのは、やはり冬から春への種の端境期を思わせるが、それでもなおどれも素晴らしい。マイクロトマトで口直しして、このへんで握りに。お茶を。

まずスミイカ。その後は、脂の具合と部位を変えてマグロを3種。かなりしっかり味のついた酢飯の具合が実にマグロとよく合う。赤貝も立派な身。カツオは酢飯と合わさるとスモークの香りがより活きる気がする。キスは軽い昆布〆。コハダは酢が枯れて旨みが熟成したもの。小柱は軍艦。見事な大星(メボシともいうらしいが)だが、粒に触れるとこれも見事に収縮する。毎日のお客の数を限ってるからこその鮮度というか。茹で上げのエビはやや小ぶりだが、エビのペーストが美味い。ハマグリ、アナゴと煮物が続いて、サッパリとヒモキュウ巻。最後は山芋の風味が美味い玉子で終了。

最近は、客同士ほとんど話さずに親方の手元を凝視する初めてのお客さんが多く、親方もやはり緊張するようだ。最後のほうになってお酒も進んでくると、ジョークも連発で、あら輝と同じ工務店がすべてやってくれてるという店の造作や、いずれは昼から通しで営業する粋な店をやりたいなどとの話を和気藹々と。それでもなお黙ったままのあまり陽気でないお客もいるから、「サラシ」でやる小さな箱の客商売とは難しい。

「そういえば、『つかさ』さんとは最近、市場であんまり顔を合わせないけど元気ですかね」などとローカルな話も。結局のところ店には3時間滞在。ゆったりと満ち足りた気分で店を出て中野坂上までブラブラと。