更新お休み中だが、本日は余裕があるので備忘にちょっと更新。 木曜夜は当日の予約で「第三春美鮨」を訪問。名前は知ってたが、今まで来たことがなかった。一番奥のカウンタに通される。席には当日のお勧め種が書かれた手書きの案内コピーが。お酒は梅錦。常温で。ツマミはおまかせで所望。 お弟子さんが江戸前鮨「仕入覚え書き」のアドレスが入ったコピーを「最近、こういうページも作りましたのでどうぞ」とくれる。 「このWebページは拝見しましたが、実に面白いですね。「Sushi」という本も綺麗で面白かった」と話すと、手前のカウンタで握ってた親方が聞きつけて、「Sushi」の本の成り立ちや、トビウオの画をあの場所に使いたくて、魚の捕れる位置に応じて挿絵の位置を決めることにしたとかの裏話をきさくに聞かせてくれる。上記のWebページは、もともとは自費出版した寿司種に関する本を全面改定した力作であるとのこと。確かにこだわりが凄い。 本のプロフィールによると、ここの親方は、大学を出て家業の寿司屋を継いだそうであるが、小僧から叩き上げた職人の店とは幾分異なった店の雰囲気。当日はスーツ姿のサラリーマンの接待が多かったが、この店をメールで教えてくれた人によると普段はそうでもないとか。しかし、店内禁煙(2階はOKらしいが)というのは偉い。 梅錦は、ほのかな樽の香りと旨みがある酒。寿司種は目の前のガラスケースに。種はどれもツヤツヤと光り、よい物を厳選して入れてることが確かに分かる。大衆店のような木のいわゆる「ゲタ」が客の前に置かれているのだが、それを台にして上に立派な焼き物の平皿を置き、そこにツマミも寿司も供する趣向。醤油さしも、岩くれのような楊枝入れも、味のある焼き物である。 つきだしは、アオリイカの耳粕漬焼きとイカナゴの照り焼き。他のお客も日本酒やら焼酎ロックなど飲んでおり、酒飲みを毛嫌いする店ではないようだ。ツマミは、中トロ、天然ホタテ、アオリイカ。「醤油とワサビで。ホタテとイカは塩でも美味いです」と指示は的確。中トロは色がくすむ寸前のようだが、ネットリとした熟成具合。大変濃い旨みが脂にシットリと溶けて美味い。天然ホタテは新鮮でさっぱりした甘味。アオリイカも結構。 お酒のお代わりをもらいつつ、タコ、ニシンを追加で。ニシンはちょうどイワシのような大きさ。脂が実に乗っているのだが、それほどクドくなく骨もほとんど障らない。この時期だけ置いているとのこと。タコも立派なものだが、お奨めに丸印がなかったのは冷蔵庫に一度入ってるからか。「日本で一番美味い」との解説で出てくる真妻のワサビは、確かにフレッシュな辛味のなかにネットリとした上品な甘味がある。マグロ皮下の脂を炙ったものを肴にもう一杯。 そろそろ握ってもらおうと思ったが、2階席に入った団体からあれこれと矢のような注文の催促。お弟子さんはいるのだが、親方にすべての注文を通してから采配するスタイルのようで、つけ場は実に忙しそう。握りを頼みかね、手持ち無沙汰なのでお酒をもう一本追加。結果的にはこれが失敗で、梅干の入ったすまし汁が出た頃には結構酩酊していた。 握りにしてもらったが、もうあんまり入らない。天然車エビ、ウニの軍艦、カンピョウ巻を貰って握りおしまい。いくらなんでも寿司屋に来て3貫では情けないが、今日はちょっとタイミングが悪かった。後から考えると、カツオ、コハダ、カスゴ、ハマグリ、アナゴなど試すべき種はたくさん。寿司種が素晴らしいのはよく分かった。握りのほうは次回訪問時にまた試すことにしよう。 |