ちょっとは余裕が出てきたので、なんとか復活。仕事は山を越えたが体調はよくない。しかし、更新休んでた時も寿司屋には行ったので、ちょっと備忘に。 上野毛「あら輝」 訪問は、ほぼ一月ぶり。1年の約束で名古屋から来ていた「鈴木君」が実家の店に戻り、切るのも握るのもまた親方一人。 白身はホシカレイ。アワビは馥郁たる海の香り。ここの白身とアワビにはいつも感心する。カツオは実にネットリ、モチモチした感触。香りもよい。北海の生ウニの後は、九州から来たお寿司屋さんのお土産だという瓶詰めウニ塩辛を少々。スミイカゲソは軽く炙って。山芋のお新香。ばちこ、玉子などなど。 握りに移行。マグロは勝浦。赤身、そして中トロ2貫、大トロ1貫。どれも結構。その後のヅケも実に旨みがある。赤貝はヒモも一緒に握る。サバも今の時期は珍しいが、これもよい。アジは脂の乗りと旨みが素晴らしい。エビはミソのついた頭の部分を落として中央に挟んで握る。ミソの旨みを全体で感じる工夫だが、前からこうしてたっけ。アサリはいつものとおり手渡しで。アナゴはどんどんよくなっており、河岸でも前の日に入れたものより数段よいと。コハダが無かったが、酢飯に合う大きさの入手が難しい時期だからと説明あり。ここの親方は、物を美味く食わせるプレゼンが秀逸だ。もちろん、肝心の種もよいもの入れてるのであるが。 この店では裕福そうな家族連れが多いが、偏屈そうな寿司求道者風の客をあんまり見かけないのは不思議なところ。もっともそういう者がいないほうが一般の客には居心地よろしい。ははは。しかし、食べるごとに感想を述べたり寿司種を褒めちぎったりするお客がいた。寿司屋というのは、慣れないうちは親方のご機嫌を取らなくてはいけないような強迫観念に襲われる場合がある。ま、しかし慣れ過ぎると、その反動か、ムヤミに威張るような常連もいたりして、どちらも感心しないが、ま、実に不思議な場所ではある。 店が一人で切り盛りする体制に戻って、席数を減らして2回転する営業に変更したような。そして今月から勘定が改定。予約の電話でも予算が変わっていることを丁寧に告げている。いろんな意味で店もワンステップ上を目指す転換期か。ま、しかし、それでも値段は與兵衛と同じくらい。 某日 中野坂上「さわ田」 夜はなかなか予約が取れず、休日の昼間に訪問。日の高い中野坂上は、夜とまったく違った街に見える。 飲むのは止めようかと思ったが、席にはいつもの銀の杯がすでにセットされている。「常温でしたよね」と親方が聞くので、ついお酒を頼むことに。おまかせのコースは夜とまったく同じ。ツマミが次々に。 マコカレイ。熟成が進んで旨みが増している。縁側も結構。アオリイカも甘味が十分。九州のタイは腹の身。アワビは葉山と言ってたかな。トリ貝は相変わらず素晴らしい鮮度。甘味も素晴らしい。ミル貝は軽く炭火で炙る。唐津のウニは1枚まるごと。西のウニは脂よりも旨みが強く身は小さい。1枚とは言え葉書より小さいくらいの薄い木箱である。アジも脂が乗っている。シャコは卵入り。これも立派なもの。藁で皮目を炙ったカツオも美味い。1匹では買わず、節を寄って入れるのでハズレがないとか。大トロの塊はツメを塗った後で炭火で炙って。 このへんで握りに移行。さすがに昼酒は回る。2杯で十分。 スミイカのあとでマグロ。赤身、ヅケ、中トロ、大トロと。熟成の具合がそれぞれ違うとのこと。室温に戻しつつ供するのはちょっと「しみづ」にも似ている。マグロはどれも秀逸。シマアジも熟成が進んでいるが、嫌な香りが出てこないのは物がよいから。タイは背の身を。 季節もそろそろ終りの赤貝だが、爽やかな潮の香り。軍艦巻きにした小柱も新鮮。カツオは酢飯と一緒だとまた味がシットリと落ちついて美味い。コハダはオボロをかまして。1週間ばかり熟成してあり、酢が枯れて身の旨みだけが残る。キスは昆布〆。アナゴ、玉子などもよかった。本日の酢飯はやや重たい気がしたが、しっかり味がついて、ここの種と合っている。握りが終った後で、だんだんリラックスした他のお客さんを交えてあれこれと親方が仕入れの話などを。これもなかなか面白い。ホロ酔い加減で地下鉄帰宅。 さて、明日1日会社に行けば7連休だ。 |