火曜の夜は会社帰りに築地「つかさ」。奥の座敷には昔から馴染みのお客さんがいたが、カウンタは空いていた。お酒は常温で。お通しはタコの桜煮。実に滋味深い出汁が出ている。ヒラメは月曜に締めたとのことだが、身はネットリと熟成。旨みあり。サバも柔らかく脂が乗っている。三陸のトコブシは殻付きで塩蒸しに。香りが実によい。アジは鹿児島。生だが、これも実に旨みがある。サヨリに牡蠣の煮びたし。平貝は軽く炙って。イカ塩辛など貰ってお酒をフィニッシュ。 ネットで検索するとこの店に来訪して「オーラが感じられなかった」と評したサイトがあった。親方と雑談中にそのことを思い出して伝えると、「うちは地味なんですよねえ」と本人も納得。奥さんにも同じことをよく言われるそうである。真面目で落ち着いたよい店だし、あんまり素直に納得されても困るわけではあるが。はは。 やはり商売には多少のハッタリも時には必要かもしれぬ。カウンタを全部白木にしてスキンヘッドにしたらどうかと冗談で勧めると、「スキンヘッドは嫌です(笑)」とのことであった。あとは、椅子を赤いビロードにして、白木の種箱、山葵も一番デカイのを選んで、と勝手な冗談は続いたが、果たしてそれが店の「オーラ」かと問われると、確かに違う気もする。<だったら勧めるのやめとけよ(笑) 寿司屋がその店の勘定に見合った範囲でよい魚を置くのは当たり前の事なのだが、寿司屋仕事の評価とは、畢竟、他所で食えない物が幾つあるかというところに帰着するのでは。いわゆる「必殺技」の多さで言うと、西大島「與兵衛」など実に多彩である。この店のスッキリした酢飯や、マグロ脳天スモーク、イワシのツミレ汁なども素晴らしいが、全般的にオーソドックス。向こう受けする「大技」がもうちょっとだけあってもよい気もするのだが。 適当なところで握りに移行。相変わらず酢飯の具合は絶妙。ヒラメを別のサクから。マグロは松前だったか。シットリと酢飯によく合う。スミイカも十分肉厚。コハダはオボロをかませて。サバも酢飯と一緒だとまた旨みが格別。エビはやや小型。アジは酢〆だが、握りには酢〆がよく合う。ウニはサラリとした脂でなかなか結構。ハマグリも美味い。アナゴはやや脂が抜けてきたような気もするがそれでもなお結構。最後に鉄火巻。海苔の香りよくマグロとよく合う。金曜に発売される「築地まるかじり 2005」という本に、この店が2ページに渡ってカラーで紹介されるのだとか。ブレイクしてフラっと入れなくなったらどうしようか(笑)、などとお茶飲みながら雑談。 |