先週日曜4/10の夜は、西大島「與兵衛」。年明けからの予約ラッシュもだいぶ落ち着いて旧に復した感ありとのこと。まあ、喜ぶべきことかどうか難しいところだが。手伝いに来ていた若いお弟子さんが帰ってそろそろ1年。生の魚を切って出せばよい店と違って、煮たり〆たり漬け込んだり仕込みに手がかかる。親方一人ではやはり大変だろう。お弟子さんはもう入れないのかと問うと、「本当に入れてほしいんですよね」と奥さんのほうが(笑)。夜の1回転とはいえ、やはりずいぶん負担がかかってるようだ。 1ヶ月ぶりだが種札にはかなり変化あり。白身はヒラメからマコカレイに。光物では、サバ、サヨリが退場、替わってカスゴ、ニシンが登場。白魚も種札に。 最近、シャコの良い物が無いと親方。汁に漬け込んだここのシャコは握りの種というより最初のお通しに欠かせない一品なのだが、大きく肉厚なのがないのだそうだ。カツブシと言われる卵を持つものを好きな人が多いが私は無いほうが好き。この店でもあまり卵持ったのはみかけない。ま、あくまで好き好きだが。光り物は、カスゴ、ニシンが登場。去年から使い出したニシンはいわゆるコハダくらいの大きさ。白魚も種札に。ただし連休前には終了。夏の種ではアワビが6月からだと。 カウンタは8席満員。この店は基本的にすべておまかせ。ほとんど同じ時刻に全員が揃い一斉にスタート。意外にこういうのは珍しい。 お酒はまず「十四代 本丸」、2杯目も同じ銘柄。3杯目は「天界」に切り替え。 ツマミ第一の皿は、エビ頭、イカゲソヅケ、ホタテ煮びたし、白魚オボロ添え、中トロ炙りヅケ。第2の皿は、マコカレイ縁側の甘酢ヅケ、ミル貝ヒモ甘酢ヅケ、ニシン酢〆、煮イカの耳にはツメを添えて。素材の持ち味にあわせて仕事もあれこれ変えてありどれも旨い。 それから握り。酢飯は固め。美味し。マグロ赤身ヅケはネットリした滋味。カレイの甘酢ヅケ、胡麻醤油ヅケ、シマアジ。スミイカは軽く醤油ヅケにして1晩寝かすのだとか。エビも軽く甘酢を効かせて。どれも酢飯に合って実に美味い。ミル貝も軽く甘酢に潜らせる。カスゴはやや小さめ。上品な旨味が舌の上で崩れる。コハダもやや軽い〆。酢は枯れて上品な仕上がり。美味い。ニシンは上品で癖のない脂。親方の言うには水溶性の脂なんだと。口中で淡く柔らかく溶けてゆく脂の旨み。イワシは岸和田。割ときつめに〆て。これまた結構。ハマグリ、ふっくらした白い煮上のアナゴは独特のコクがあるツメが最高。そして小柱を入れた玉子焼も美味し。最後にカンピョウ巻を頼むかどうか思案したが、一応やめにして〆。相変わらず素晴らしい仕事であった。 |