日曜夜は西大島「與兵衛」訪問。予約の電話を入れたのはその前の金曜。だいぶ先まで予約埋まってるかと思ったら、おかみさんが出て、「この日曜でも空いてますよ」と。「でも台風来てるでしょ。右に曲がってこっち来たら雨ですよ、雨」とカラカラ笑う。いつもながら明るくて面白い人である。 時刻通りに入店。もう秋が深まって外は暗い。お酒はまず大吟醸を一杯。山形の「惣右衛門」。なめらかな飲み口に上品なコクあり。種札では、アワビが消えて牡蠣煮びたしが登場。まだお客さんが立て込んでないので、親方とパリ・クリヨン出張握りに持ってゆく寿司種について雑談など。11月の第2週だそうである。 最初の皿は、海老頭、ホタテ煮浸し、北寄貝柱とヒモ甘酢ヅケ、イカゲソ、牡蠣煮びたし。どれも定番だが美味い。牡蠣煮びたしは久々だが、ネットリした深い旨みが特徴的。これから寒くなるともっと美味くなると。お酒は「十四代」、「九平次」と切替。ツマミ第2の皿は、マグロ中トロヅケ炙り、ヒラメ縁側甘酢、ヒラメ胡麻醤油ヅケ、サンマ。酢〆したサンマは皮目を炙ってあるのだが、ホロリと崩れる身肉の食感が素晴らしい。今年はサバのよいのがなかなか出てこないのだと親方。 本日はこのへんで握りに。マグロ赤身ヅケ、ヒラメ甘酢、胡麻醤油、シマアジ。スミイカヅケ、甘酢にくぐらせた北寄貝は旨みが濃い。ここから光物に。キスは皮目を軽く炙って。コハダは軽めの〆だが旨みあり。サンマも酢飯とよく合う。イワシは分厚い身を削ぎ切りにしたものを3枚重ねて。ネットリと濃い脂が実に美味い。ハマグリは柔らかい漬け込み。コクと風味あるツメが実によく合う。沢煮風白いアナゴもネットリと味が濃く素晴らしい。玉子はいつもながらブランデー・ケーキのように濃厚でシットリ。硬めに炊き上がった酢飯の具合も最高でどれもよかった。 ここのお茶はいつも濃く入れてあり美味いのだが、日曜にお弟子さんが入れたお茶の具合はちょっと不思議。最初はぬるく、差し替えごとにだんだんと熱くなってゆく。なんだか、石田三成が豊臣秀吉にお茶を出した故事を思い出すが、意図してやってるのか、単なるブレなのか。個人的には、寿司屋のお茶は最初から熱いのがよろしいと思う次第である。ひょっとして、パリではあんまり熱いお茶は受け容れられないとみて、フランス人用にぬるめのお茶入れる練習してるのだろうか。まさかなあ。 |