本年最後の「新ばし 笹田」。月曜だが「最多来店記録」氏の姿がない。本日「しみづ」が営業してるからかと思ったら、忘年会があって元からお休み予定と、事前にご主人に告げていた由。客の鑑ですな(笑)。「有楽町更科」の元主人が書いた蕎麦の本に、毎日同じ時間に来て同じものを召し上がって帰る客が飲食業には「上客」で、蕎麦屋の符丁で「トイチの客」と言うとあった。「上」の漢字を分解した隠語。逆に立て込んでいる時に来てあれこれ講釈たれる客が最低。これは「ハイチ」の客。「下」の漢字から来てるのだと。このへんは蕎麦屋に限らず同じかもしれない。 先週は、連日予約が埋まって忙しかったとのこと。商売繁盛は結構な話。月曜もあと2組入って予約満杯。 お酒は、まず「羽前白梅」の吟醸を。先付けに、油揚げと青菜の煮物。暖かい出汁が美味い。いつも同じで申し訳ないですと供されたのは、セイコガニ。漁期も短いし、美味いものは毎回でも大丈夫だ。アンキモと白身すり身の蒸し物は軽い餡かけ。生牡蠣は、ネットリと癖のない旨み。ナマコ酢もお酒によく合う。考えてみると、子供の頃は、牡蠣酢やナマコ酢など、何が美味いのか実に面妖に感じたもんであるが、お酒飲むようになるとしみじみと美味いこの不思議。 お造りは、ヒラメ、メジマグロ、タイ昆布〆。メジは脂の乗った腹の身だけしか使わないそうだが、上質な脂が舌の上に甘く広がる。ヒラメも上質。「しみづ」から来たお客さんだと分かるとお造り出すのに緊張しますとご主人が。 お椀は、スッポンの身を入れた玉子豆腐。表面には脂がコッテリ浮いているのだが、これがくどくない。魚の白身と鳥の中間に位置する味というか。正月3日からの特別営業は、このスッポン鍋コースを主体で行くと。焼き物はタイの幽庵焼。身も脂が乗って旨みあるが、パリッと焼きあがった皮がまた美味い。 軽く炙ったカラスミは、ネットリとやや発酵した感のある食感が美味い。煮物はブリ大根。しっかりした濃い目の出汁が滲みた大根が美味い。このあたりでお酒切り上げ。食事はいつもの炊飯土鍋で炊き上げた御飯。ツヤツヤとした炊き立ては香りが素晴らしい。赤だしと漬物と共に。2杯目はいつものごとくお焦げを少し入れて。最後は白玉入れた冷製のぜんざい。新年3日からの営業のことなど伺いながら煎茶を。 本年はこれで最後。ご主人と奥さんに「よいお年を」とご挨拶してお勘定。 |