東京滞在中の飲食店訪問もボチボチと追加。 2006/12/25 「新ばし 笹田」 久々の訪問だと、店の手狭ささえも懐かしい。この年末は、28日の最終日までほぼ満席だと。事前にアメリカから電話で予約して正解だった。 忘年会と思しき団体が一組と私でほぼ店は一杯。以前は、当日電話しても1名ならほとんど入れたが、最近は難しい時があるとのこと。「最多来店記録」氏もだいたい当日電話が多いので、最近は月一くらいの登場とか。日経「おとなのOFF」に掲載された時の新規客ラッシュの話など笹田氏から。文藝春秋の「東京いい店うまい店〈2007‐2008年版〉」にこの店が新規掲載された話なども。ただ、この本、巻頭の地図にある「笹田」の場所が2筋ばかり南にズレている。飲食ガイド本の地図というのは、そもそもエー加減なのが多いと思うが、大手出版社の古参ガイドにしては珍しい。 最初に生ビール。その後で、「開運 純米 冷やおろし」。飲み口はスッキリしているのだが、きちんと旨味がある。アメリカで飲む日本酒には、なぜか妙な雑味を感じさせるものが多く、こんなバランス取れた酒がない。まあ、輸送や保管の問題だろうか。 まず小さな器で暖かいアナゴ蒸し寿司。セイコガニは内子も立派で、綺麗に掃除され殻に収められた外子のプチプチした口触りも美味い。イカ塩辛は自家製で酒によく合う。焼いた冬筍は香りがよく、サクサクとした食感の中に上品な甘みが広がる。油揚げとほうれん草のおひたしは、昨日の「まつもと」でも先付けに出たのだが、なんでも笹田氏がレシピを教えたとのこと。面白いな。 お造りは、タイ、〆サバ、マグロ。明石のタイは小型だが上質な旨みあり。サバは寿司種とは違う軽めの〆。柔らかい身肉に旨味が溶ける。お椀はアマダイ。上品な出汁がホロホロと崩れんばかりの柔らかい身肉の滋味を引き出す絶妙の塩加減。焼き物は鰆。歯応えと旨味に満ちている。 煮物は、これまた懐かしい京風のミニおでん。野菜は京野菜、小さなさつま揚げも自家製、アクセントにあしらうウズラ玉子も半熟に店で茹でるなど、細かなところまでキチンと手がかかっていることがよくわかる。お椀にしても煮物にしても、出汁は以前のほうが分かりやすい濃さだった気がするが、今回はむしろ以前より淡く感じる。しかし根底にある癖のない旨味だけはしっかりとして、その仄かさの中に素材が際立つような、進化したともいえる素晴らしい出来。 最後はいつも通り、炊飯土鍋で炊いた御飯。香り高くツヤツヤと。お新香赤だしと共に。2杯目は香ばしいオコゲも入れて。これまたしみじみ美味い。日本人ならやはりパンよりご飯ですな。最後は白玉の冷製ぜんざい。久々に美味い物を食べたという実感あり。日本に来てひとつ困るのは、運転しなくていいと思うとお酒が進み、最後は結構酩酊してしまうことか。 |