MADE IN JAPAN! 過去ログ

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2001/12/27 韓国にワリカン無し

そうそう、韓国日記に書き忘れてたことを追記しておこう。ソウル支店長と飲んでた時に聞いた話だが、韓国では、飲み屋や料理屋の常連になると、勘定が高くなるのだという。日本の常識だと、なじみになると安くしてくれそうなもんだが、これが反対。

支店長の解説では、「友達なんだから、ちょっとくらい勘定を高く取ってもいいだろう」と考えるのが韓国風なんだそうだ。文句言うと、「友達なんだから、店の苦しい時は助けてくれて当たり前だ」と逆に怒られるのだとか。どうも信じがたい話だが、韓国駐在通算10年の人が言うのだから、まあそういうこともあるのだろうか。

そうそう、韓国にはワリカンの習慣が無く、飲みに行った時は、目上の者か誘ったほうが全額払うのが当たり前なんだという話も興味深かった。むこうの会計士と飲んでると、こんなことを言う。
「あなたと私は会うの2回目ですね。そしてあなたが年上。もしも、これが韓国人同志で、2回も飲みに行けば、私は、あなたことを”兄貴”と呼んで、なんでも腹を割った相談もするし、従います。しかし、会うたびにあなたが、飲み代を全部払うことになるですよ。韓国人、ワリカンしません。ハハハ」
とまあ、そういうことなんだそうだが、エライことですな。もっとも、社会全体がそうであれば、若い時は誰にでもおごってもらうことになるし、払ったり払われたりで、人生トータルにおいては採算が合う。世代間の所得移転の効果もあって、なかなかよい習慣かもしれない。

しかし、損するのは日本から行った駐在員で、若い時には日本にいて誰も韓国の人にはおごってもらってないのに、マネジャーとして赴任するといきなり全員におごらなくてはならない。大変な持ち出しである。そのため、うちの支店では、会社の飲み会の時は、日本流にちょっとずつ全員から飲み代徴収する方式を取ってるそうだが、これがかなりの不評なんだそうである。ま、そういうもんだろうなあ。

昨日は早く休んだのでちょっとは体調も回復。明日は半日行ったら本年の仕事納め。いよいよ今年も終わりだなあ。

2001/12/22 ソウルより帰還

本日、ソウルから成田に帰還。とりあえず、この3日を振り返っておこう。

12/19 ソウル到着

会社を午後3時に出て、成田午後6時発の便で韓国到着。ソウルの新しい空港は、実にキレイだが、時間が遅いせいかガラガラ。ANAは韓国では冷遇されてるのか、ターミナルの一番端に到着。同行のK氏と雑談しながら延々と歩く。ずらりと並んだ入国審査場のゲートは壮観。ワールドカップ対応もあるのか。

ソウル支店のT氏から、ホテル行きのシャトルバスは、すぐに分かると聞いていたが、バス乗り場の案内板を見ても、どれがソウル・ヒルトンに行くバスの発着場か、サッパリ判別できませんがな。表示がちょっと不親切な気がするなあ。

K氏と、しばし、ああでもないこうでもないと検討していたが、外はシンシンと冷えてくる。面倒になって、模範タクシーに乗ってソウル市内へと。市内への高速道路も、3車線でたいへん立派。

ホテル到着は10時過ぎ。シャワー浴びて、見事に一言も分からない韓国のドラマを見てるうちに眠くなって就寝。



12/20 ソウルでお仕事

7時半起床。ロビーでK氏と待ち合わせて、徒歩で支店の事務所まで。外気はマイナス5度くらいだろうか。やはり寒い。

事務所で支店長、総務のT氏と簡単に現状を打ち合わせ。その後会計法人に支店長車で移動。先方の日系企業本部のパートナー、当社の担当会計士、国際税務の専門家の3名を呼んで、現状分析と対策の打ち合わせ。

L会計士は、法規に詳しく、韓国のお役所から来たチームの理不尽な主張の欠点をつき、どのような反論をするべきか明解に判断する。なかなかのキレ者だ。3人とも韓国人だが、日本語がペラペラなので実に助かる。

昼食の後、オフィスに戻り、今回の調査チームと面談。むこうの責任者である係長は、すでに50過ぎ。ノンキャリだが現場から叩き上げて現在の地位に上りつめたのだそうだ。当社の担当会計士に通訳してもらって、まず係長の挨拶。開口一番、
「長年やってるが、こんなに資料の提出が遅い会社は見たことがない。数字にもあれこれ相違があり悪質である。告発して裁判も辞さない。」
と言い捨てて、会議室を出て行く。これにはビックリ。通訳してるキム会計士も驚いている。この係長は、話しているうちに自分で更にコーフンするタチらしく、激昂して手がブルブル震えているのが怖かった。いやはや。ははは。

その後、調査チームの実務責任者である班長及び残りの担当者と質疑応答。こちらは、まあ平穏に話が通じる。先方は先方の主張をするが、こちらが反論するとすぐに次の話題に切りかえる。会計士が側面から確認したところでは、実はこのチームには専門家はおらず、向こうも勉強しながらやってるらしい。まあ、まだジャブの応酬というところか。

夕方まで討議してむこうとの打ち合わせ終了。係長は先に帰ったとのことで、うちの会計士が班長に、係長のホンネを聞きに行く。韓国もタテマエとホンネが交錯する社会なので、こういう情報が重要なのであった。班長の言うには、「係長はどこ行っても同じ事言いますから、ま、大丈夫じゃないの」とのこと。まあ、そう願いたいなあ。

夕食は、キム会計士も招待して焼肉の店に。キム氏の、「韓国は情の国。酒飲んだら腹を割って、なんでも仲間に話さないとダメなんです」との韓国論を聞きながら、塩味の焼肉やらキムチやら食す。

1次会で終わるつもりだったが、キム氏が焼酎でよい気持ちになり、「韓国の飲み」を教えると言って聞かない。「イヌ食べに行きましょう」と誘うので、それは丁重にお断わり。政府は体面を気にして規制してるが、イヌ肉を出す店はあちこちあるらしい。

「それでは私の知ってる店に行きましょ」と言うので、まあいいかと同行。それからキム氏の言う「腹を割った韓国の飲み」を実践してエライ事になったのだが、詳細書くのは自主規制しておこう。ホテルに帰ると1時過ぎであった。ははは。

12/21 あわただしく日本帰国

2日酔いでホテルをチェックアウト。プリントした明細が他人ので、部屋番号が違うとモメてると、後ろから肩をポンと叩かれた。振り向いてみると同期の営業T氏である。うちの会社もこのホテルが多いから、よく知ってるのに出くわす。ドイツからお客を連れてきてるのだとか。

支店会議室で今回出張で決定した事項のまとめに入る。ところが朝っぱらから、リー係長が、「数字が分からないのでもう調査は終了。キミ達とはもう話したくない。裁判所で会おう」と荒れてるとのこと。裁判所では会いたくないっての。昨日の夜、なんか気分の悪いことでもあったのか。また話が逆戻りしてしまったので、対応策を協議。午前中一杯かかって、申告数値と我々の修正予定との説明を作成。

4時の飛行機で日本帰国だからあんまり時間がないのだが、午後から再びリー係長と面談。昼飯に焼酎でも飲んできたか、朝と比べるとなんだかご機嫌は回復したようだ。数字を説明すると、あっさりと「分かった」と納得。なんだか拍子ヌケ。ただ、この人は一度分かったと言ってもすぐに気が変わるから、まだ油断はできない。

「私がこっちの支店のTさんを怒ってるのは、みんな日本のあなたがたがちゃんと資料を出さないからです」と、矛先がこっちに来て叱られる。今朝はT氏をずいぶん怒鳴ってたのだが。ははは。ま、しかしまだ手は震えてないから、ご機嫌はよいようだ。今後も真面目に対応することを約して平謝り。気が変わらぬうちに握手して、なんとか面談終了。

むこうに振りまわされて、成果があったような無かったような妙な具合だが、とりあえず撤収。支店長車を使わせてもらって空港へ。成田帰着は夜の7時。東京駅までNEXで出て、そこからタクシーで帰宅。いやはや、なんだか疲れた。