MADE IN JAPAN! 過去ログ

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2002/05/19 金沢で寿司三昧

本日も、先週末の金沢日記、その2日目。

泊まったのは、駅前の、ホリディイン金沢。各フロアに無料の製氷マシーンがあるのが、本場ゆずりか。アメリカのどこのモーテル・ホテルでもあるもんなあ。

日曜の昼飯は、香林坊の寿司屋、「蛇の目寿司本店」。東京から来たので、地の魚でお任せと告げると、職人の言うには、ほとんど地元の魚だとか。ホウボウ、アラ、ガス海老、満寿貝など、こちら産の白身や貝類の握りが次々と。タイやカレイもあるにはあるが、出してこないのがなかなか気が利いている。ビール1本に、握り一通りで、5千円ちょい。実に安い。鮨種はよいと思うが、シャリは少々甘め、柔らかめで、これがちょっとなあ。

午後からのんびりと、兼六園を散策。高台にあるのに、広大な池が広がっているのは、なかなか不思議な光景。いったいどこから水が来るのだろうか。バビロニアの空中庭園ってのも、こういうもんだったのかね。

夜は、金沢では有名だという寿司屋、「千取寿司」に。兼六園から乗ったタクシーの運転手がエー加減で、2ブロック手前で下ろされてしまったが、まあご愛嬌である。

純米吟醸酒(名前は失念)を飲みながら、適当におまかせでツマミを所望。これが、また、あれこれと出てくる出てくる。

切り身は、アラ、カンパチ、ガス海老、中トロ、バイ貝、サバ、赤イカ、イカの耳のコブ〆。どれも素晴らしい。

合間を見て、ノドグロの塩焼き、満寿貝の塩焼き、卵焼き、ガス海老の頭塩焼きなども出される。番外で、沢庵の煮たの(笑)。永平寺の坊さんが食べてるようなお惣菜料理であるが、つくづくと滋味深く感慨深い味。

満寿貝は、石川県の千里浜でしか取れないのだそうだが、やや磯臭いものの、塩焼きにすると実に美味なり。貝殻も美しく、洗って持ってかえる観光客も多いのだとか。こちらの寿司屋では生ゴミで捨ててしまうので、持ちかえって頂くのは大歓迎のようだ。はは。

かなり酩酊したが、一応は握りを食わないと寿司屋に来た意味がない。この「千取寿司」は、シャリを薪で炊いてるのだとか。蛇の目ではシャリがイマイチ甘く柔らかすぎたが、この「千取」のシャリは、なかなかしっかりして、べたつく甘味なし。美味い。

アラとキンパチダイ(?)そして、ナメラバチメだっけ? ちょと記憶が定かでないが、白身の握りを3種類試す。カレイかスズキ、シマアジ程度しかない江戸前の寿司屋に比べて、日本海側の白身魚は、実に種類豊かで、それぞれに特徴ある美味さ。白身の微妙な味は、シャリと一緒のほうがよく分かる気がする。

主人(の息子か?)の言うには、日本海側では、あんまり「仕事した」寿司を出すと、かえって「新鮮ではない」と取られて、評判悪いとのこと。江戸前寿司の伝統技は、魚の保存のために考え出されたテクニックが多いのは事実である。すぐ横に、豊穣な海が存在する日本海では、ただ単に刺身を切って出すだけでも素晴らしい。

ここの寿司屋は、海苔も素晴らしい香りがする。最後に梅シソ巻きを頼んで〆。最後に出た、イワシのツミレ吸い物も秀逸。日本海側で寿司を食べる時には、・東京でも売ってる白身は頼まない、・マグロは頼まない、・地元の魚、貝類を中心に、・アナゴ、コハダ、カンピョウ巻等、江戸前の仕事は避ける、このへんを守れば実に堪能できるということを痛感した。

月曜は午後の便で帰京。しかし、金沢最後を寿司で〆るかと、最後に近江町市場に出向き、昼食を「鮨源平」で。ここもガイドブックにはよく載ってる店だが、お茶で、昨日食べたネタや、目に付いたネタを再確認して、6種類ばかり握ってもらう。ホウボウとアラ、満寿貝、小アジが美味なり。シャリはちょっと甘いが、種は新鮮。

お茶しか飲んでないので、12貫で勘定は3千円を割る。これまたビックリ。しかし、市場の中にある人気店なので、昼近くなると混んでくるのが、唯一の難点かもしれない。

というわけで、寿司も堪能した金沢日記、これにて終了でござる。


2002/05/18 「ごり屋」でごりを食す

週末は、そぞろ虫が騒いで、フラリと金沢へ。本日の更新は、とりあえず土曜日の分。昼の飛行機で、羽田から小松空港まで1時間かからない。タクシーで金沢駅前まで。

香林坊付近を散策。結構、にぎやかなもんですなあ。閑静な武家屋敷跡も見る。小京都と言われるのもよく分かる端正な町並み。ガイドブックには必ず登場する有名な飴屋もあるが、甘いものは苦手なので、店はのぞいても、別に購入はしないのであった。



夕食は、常磐橋のたもと、ごり料理の「ごり屋」に。

「ごり」とは金沢を流れる浅野川などに生息する、ハゼのような川魚だが、昔から金沢料理に使われる名物なんだとか。

ここは、閑寂な川のほとりに建ち、「ごり」を中心にした加賀料理を食わせる歴史ある店。敷地は1000坪以上あって、客は、すべて別々の離れに通され、料理は、離れた調理場から仲居さんが運んでくる趣向である。

ガイドには、古くから文人墨客に愛された店とあるが、確かにすべてが古びている。案内された離れは、実に立派な屏風が飾られ、数寄を凝らした風格ある建物。部屋に入ると、かすかに香がたかれているのが分かる。

菊姫大吟醸を飲みつつ、運ばれてくる料理を口に運ぶ。まず、わらびのぬた。そして、八寸には、ソラマメ、ごりの佃煮、海老などの八寸。ごりというのは、小さな川魚であるが、なかなかゴツゴツした体形である。



お造りは、ガス海老に、ごりの洗い(これは酢味噌で)。続いて、ごり汁に飯ダコ。ごり汁というのは白味噌にごりの身が入った汁だが、滋味あふれる味ではあるものの、くどいほど甘い。

焼き物は、岩魚の塩焼き。これは素晴らしい。夏場になると、鮎もメニューに上り、かの魯山人も賞賛した「鮎の洗い」なんてものも出すらしい。ふ〜む。

揚げ物は、ごりの素揚げ(左写真がごりの異様な姿。はは)、ガス海老の頭と一緒に。その後、金沢名物の治部煮。最後になぜか(ま、季節ではあるが)蛍いかが出て、香の物にご飯。メロンでコース終わり。

料理はどれも決して悪くはない。よく言えば、歴史の風格ある建物で供される風格ある料理なのだが、悪く言うと、古色蒼然たる建物と料理ともいえる。頼んだ日本酒、菊姫大吟醸も、重厚なヒネ味(老味)たっぷりで、やっぱり建物の雰囲気に合わせてあるのかねえ。淡麗な軽い日本酒では、やはりこの雰囲気には合わないかもしれない。ははは。

ただ、つくづく思ったのだが、こういう重厚な雰囲気はかえって落ち着かない。ま、私も別に、文人墨客じゃないからなあ。ははは。コンクリートの建物内部に、新建材で作ったチープな座敷で、ライトアップされた人工の庭を見ながら飲むほうが、ずっと贅沢で、小奇麗で、落ち着く感じがするというのは、ま、ハッキリ言って日本人として堕落である。しかし、東京に住んでると、いつしかそうなってしまうもんなんですなあ。

ごりの味も、話のタネには一度くらい食ってもいいが、もう一度食べたいという気には、あんまりならない味かも。もっとも、日本通の外国人の接待なんかには、こういう雰囲気はよいかもしれない。

まあ、しかし、普段の日常とは違う雰囲気を堪能、これはこれで楽しい場所であった。金沢は美しい小さな街で、どこにタクシーで移動しても、安いし早い。便利だねえ。ということで、土曜日の一日目終了。2日目は、また明日でも更新しよう。