MADE IN JAPAN! 過去ログ

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オーストラリア特別編 (2004年12月)

帰国後すぐに書かずに放置しておいたので、なんあか記憶があいまいだ。一応、思い出した事だけを順不同で記録のために。

日本帰着の日

12/18 早朝に成田帰着。ユナイテッドのマイレージ消化のためビジネス・クラスを予約したのだが、SQはなかなか快適。機種によりけりだが、オン・デマンド・ムービーがついているのもよい。シンガポール、ワンストップでオーストラリア往復のうちに、機内で映画を4本くらい見てしまった。日本語吹き替え・字幕はほとんど無いのだが、コメディ、SF、アクション等は英語音声だけでも大丈夫。

到着が早朝すぎて成田エクスプレスの始発がまだ動いていなかったというのがちょっと誤算。もっと早くから動いてると思ったがなあ。1時間ばかり待ち時間あり。空港内に設置されたコイン式のマッサージ・マシンでリラックス。10分200円だがなかなか効く。

東京駅からタクシーで帰宅。運転手は、妙に暖かい冬ですねと話しかけてくる。確かに日中は30何度もした南半球から戻ってもそれほど凍えない。

ポツポツと雑談してると、この27日に引越しだと言う。年末の押し迫った時に大変だ。奥さんが今年ガンで亡くなり一人になったので小さなところに越すのだと問わず語りに。「この歳で連れ合いに先に逝かれるとなんだか生きる張り合いがなくなりましてね」と寂しく語る運転手は、おとなしく真面目そうな風貌。もう60は超えているだろうか。行きずりの見知らぬ客にすら身の上を語らずにいられないこの孤独は、洋の東西を問わず乾燥した都会に特有のものという気がして胸が詰まる。料金を払って降りる時、「引越し大変ですが頑張ってください」と言うと、「お客様もよいお年を」と笑った。そうだ、もうそんな挨拶の時期。よい年になればよいな。

パース住宅事情

知り合いのオーストラリア人夫妻とイタリアン・レストランで会食中、夫妻の息子が一軒家を買ったという話になった。去年こちらに来た時にちょうど大学を卒業して就職したばかりでまだ独身。ずいぶん若くして家を買ったんだなあ。オーストラリアでの平均住宅購入年齢について聞くと、パース生まれの父親の言うことには、「そうねえ、ちょっと早いかな。私が最初の家を買ったのは25歳か26歳だったから」と言うのでびっくり。住宅の手入れをきちんとしていれば、必ず高く売れる。所得が上がるにつれてだんだんと大きな家に買い換えて行くのが普通だとか。

まあ、日本でも昔はそうだったのだが、バブル経済崩壊してからはそういうスパイラルは無くなったのだねと説明すると、「それは大変だなあ」と同情を買う。「オーストラリアのモーゲージは、返済できなくなれば家を手放せばそれで借金も消えておしまいだよね」と聞くと「その通り」とのこと。「日本では借金が返済できなくなって住宅を売却しても、それで借金を完済できなければ金融機関は全額返せと追いかけてくるよ」と説明すると、これまた同情を買う。日本は、担保価値下落の責任を貸付プロの銀行でなくアマの個人債務者が負う金融機関天国なのだ。GDPでは日本がずっと上でも、どちらの国が豊かか、実に複雑な心境。

「マイライフ」読了

「マイライフ クリントンの回想」。上下2巻の重たい本なのでAmazonで購入したが、読みあぐねていたのでEMS便でオーストラリアに発送して、向こうで読了。

貧しいが決して貧困に負けなかった母親。父親との死別、義父の飲酒と暴力。奨学金を得てのオクスフォード留学。アーカンソー州知事への就任と大統領への道。幼少から政治の世界に入り大統領退任までを網羅した回想録。実に細かい想い出まで丹念に綴られている。アメリカ人らしい明るいユーモアがあちこちに感じられるのも読みやすい点。

女癖は悪く、在職中にスキャンダルを引き起こしたが、クリントン個人は最後まで民衆の人気を失わなかった。人の気をそらさないたくみな語り口、誤りを率直に認める態度、公民権運動、社会保険政策などに見られる貧者弱者への共感。この本で随所に感じられるのは、クリントンが人気を保った理由、その個人的魅力である。

昨今の共和党の政策を「アメリカ南部白人の心の暗部」と語るくだりも興味深い。自らも南部生まれの貧しい白人だったが、刻苦勉励して学問を続けるうちに公民権運動への共感を覚え、ケネディへの憧憬から民主党員となり、州司法長官、州知事、大統領と積み上げた政治遍歴。金持ちのパパのコネで徴兵逃れをし、大学もコネで入学とささやかれるブッシュが共和党であることとはまったく対照的な人生。

本格的に政治を研究する人には、やや軽い内容で物足りないかもしれないが、ホワイト・ウォーター・スキャンダルについての執拗な共和党の攻撃ぶり、アーカンソー知事時代のドブ板選挙活動の模様など、どれもアメリカ政治のある種の内幕を描いており、なかなか面白かった。ブッシュはどう転んでもあと4年で終り。次の大統領選挙では、ヒラリー・クリントン大統領が誕生するだろうか。

成田空港マッサージ機


空港第一ターミナルに設置。時間があったので試してみたが、なかなかの優れもの。10分200円。安ければ自宅にも一台欲しいくらいの機械であった。もっとも安くはないだろうな。

そういえば、昔、温泉地などに行くと、こういうマッサージ機に座っているのは年寄りばかり。あんなもの何の用があるのだろうと思っていたが、私もだんだん節々が凝る年齢になったのかねえ。

ま、しかし空港に行く時は重い荷物引きずってるし、帰着した時は飛行機の座席に長時間座りっぱなしで身体が凝っている。時間があればこの椅子に座って身体をほぐすのもなかなかよいアイデアである。また成田に行ったら利用するか。

インド洋


Perth近郊は、オーストラリア全般の景気のよさを反映してか、住宅建設が盛ん。海岸線沿いに近郊電車の工事が進み、海沿いに住宅が次々に建設されている。

そしてそこからすぐの海岸からは白い砂浜とエメラルド色のインド洋が。この海の色は真っ白な砂浜が遠浅で沖まで続いているからだということがよく分かった。

犬を泳がすことのできるドッグ・ビーチもあるのだが、その隣には「ホース・ビーチ」もある。日本でペットに馬飼ってる人が何人いるか知らないが、Perth郊外に行くと、庭で馬を飼ってる家が何軒もある。そんな大金持ちという風でもない割と普通の家である。やはり日本とずいぶん違うよなあ。まあ、しかし馬をペットに飼うというのもかなり手間暇要するであろう。内陸部には、野生の馬が群れとなって走りまわっているところもあるらしい。そもそもオーストラリアにはいなかった動物であるから、やはり輸入された馬が逃げ出したか捨てられて「野良」化したのであろうか。「野良馬」。日本とスケールが違うよなあ。


Perthでも寿司など

Perthより車で南に3時間。Bunburyという町にある「KOKORO Japanese restaurant」で上握りなど注文。むこうで結婚した日本人夫婦のやっている店。酢飯の味は軽めだが、握りの形はなかなか悪くない。サーモンには脂が乗り、ウナギも実に柔らかく上がっており、これが結構美味い。ホタテの軍艦巻も結構。テイク・アウェイもやってる気軽な店だが健闘している。

この町には日本人はほとんど住んでる様子がない。店にいた時に入って来たお客もすべて地元の人。世界どこの町に行ってもチャイニーズ・レストランは存在するが、オーストラリアでは日本レストランも頑張っているではないか。

Perthの日本人

最近、「リタイア後を海外で」などというガイド本が日本でもたくさん出版されているが、パースを取り上げている本も多い。気候はよいし、物価も安い、治安もよく、英語の通じる文明国。ただ外国人には医療費が高いから、住めるとしても元気なうちだけかもしれないが。

パース市内、B.Y.O.のレストラン(B.Y.O.は『Bring Your Own』の意で、お酒持ち込まないと店には置いていないレストラン。オーストラリア全域で一般的らしい。グラスは貸してくれるしワインは開けてくれる。安く上がってなかなか合理的)に持ちこむワインをパース・ステーションのショッピング・センター内酒屋で物色していたら、日本語が聞こえる。後ろで日本人の女性2名がビールを買っていた。その後、もう一組違う日本人の女性2人組も店に入ってくる。店を出ると、携帯電話で会話しながら通り過ぎる女性のしゃべっているのは明らかに日本語。ワーキング・ホリディでパースに来る日本人が最近増えていると聞いた。不思議と男性はあんまり見ないんだよなあ。

「エルフ」

行きのSQ機内で見た映画。ひょんなことから北極でサンタクロースに育てられることになった人間の男性。彼はずっとエルフとして育てられたが、実の父親に会うためにNYにやってくる。初めて戻ってきた人間世界で彼が引き起こすドタバタをユーモラスなタッチで描き、最後はホロリとさせるクリスマス・コメディ。これがなかなか面白かった。

主人公が引き起こすドタバタは、「クロコダイル・ダンディー」にも似ている。人々のクリスマス・スピリットが衰えたため、空飛ぶソリが失速し、セントラル・パークで人間に捕らえられそうになるサンタ。それを助けるため、勇気を出して群集の中で声を限りにクリスマス・キャロルを歌い出すヒロイン。回りの奇異の眼は次第に温かいまなざしに変わり、人々の間に広がる合唱。そしてサンタは無事に北極に帰ってゆくのだ。

ネットで検索する限り、この作品は日本で公開されていない。アメリカ映画のヒット・ランキングを見ると結構コメディが多いのだが、日本にはほとんど輸入されない。やはり、外国のコメディというのは、文化的な背景が分かっていないと字幕では理解しがたいこともあり、なかなかヒットしないから配給会社も買付けにためらう場合も多いのだろう。

例えば、サンタが北極から来るというのは日本人でもなんとか分かるか。しかし、北極にはエルフがいて、年中クリスマス・プレゼントを作ってるというのは日本人の常識になってるかどうか。もっとも、全般的に見てこういう映画なら誰にでも理解できてヒットして不思議ないと思うのだが、配給会社が勉強不足なんではないだろうか。残念なことである。

「AVP」

これもSQ機内で。日本に帰国して劇場でも見たので、感想は映画ログのほうに。

「ボーン・スプレマシー」

これもSQ機内で。日本では来る2月11日公開だから、外国での公開のほうがかなり早かったようだ。マット・ディモン主演のスパイ・アクション。第1作の「ボーン・アイデンティティー」がヒットして作られた第2作。

テンポも速く、小道具を上手く使ったアクションは観客を飽きさせない。インド、ヨーロッパ、ロシアと舞台も印象的。ただ、マット・ディモンが、どういう訳か「He is the best」と呼ばれるほどの優秀なスパイに見えない。どちらかというと、アメリカの農場ならどこにでもいるような田舎臭いアンチャンに見える。実際のディモンは、ハーバード在学中に自ら脚本を書いて主演した「グッド・ウィル・ハンティング」でアカデミー脚本賞を獲得した多才な人物なのだが、画面で見るとそういう片鱗を感じさせないのがなんだか不思議。日本で劇場公開されたら見に行くべきかどうか、悩むところである。いや、まあ、もう一度見たので再度見る必要はないのだが、なんとなく飛行機座席の液晶画面では映画を見たという気にならないのだよなあ。

「キャット・ウーマン」

そもそもは「バットマン」のサブ・キャラクターから映画化されたという話だが、ま、基本的にはハル・ベリーの魅力だけを頼りに作った映画。CGによるアクションは、ところどころ違和感あるもののなかなか凄い。ストーリーはまあ、デタラメといえばデタラメ、こんなものといえばこんなもの。映像はなかなか綺麗である。シャロン・ストーンの戯画された悪役ぶりもなかなか印象的。記憶には残らないが、気楽に見れて機中で見るにはぴったりだ。今回のパース往復ではずいぶん映画見たなあ。


 Hilary's Boat Harbour のシーフード・レストランで

店があるのは海辺のマリーナ。小さなショッピング・モールもあって、みやげ物屋も。飲食店も並んでいる。ここはイタリアン系のカジュアルな店だが結構混んでいる。オイスターは生でもよかったが、ベーコンを散らして火を通したものを。これがこの店の名物らしいが結構美味い。

石釜で焼いたピザやパスタも悪くない。オーストラリアの白ワインを飲んでのんびりと潮風に吹かれて。南半球の初夏はやはり気持がよい。日本の夏と比べて湿度が低いのだ。というより、日本の夏はたいていの先進国の都市と比べても劣悪な気候なのだが。

 カンガルーだらけ

死屍累々という感じであるが、このカンガルーは全部お昼寝中。パース郊外のWild Life Parkにて。ゴルフ場の中にもいくらでも野良カンガルーが出没するのだが、オーストラリアのカンガルーにも何種類かあるようだ。このパークにはオーストラリアの野生の生物があれこれ飼育されている。

ゴルフ場で見かける野良カンガルーはそれなりに警戒心が強くて人間が近づくと逃げる。ボールを探しに入ったブッシュでいきなり出くわすと蹴られることもあるらしい。このパークのカンガルーは餌も貰えるから野生がだいぶ消えてるのか。何の心配もなく食ってはグータラ昼寝。うらやましいですな。

 ウォンバットだとか

ワイルド・ライフ・パークのレンジャーが抱いてるのがウォンバット。オーストラリアの動物だからおそらく有袋類なのだろうが、実にだらけた妙な生き物。入場者に無料で抱かせてくれるというコーナーがあるのだ。レンジャーに話を聞くと、ずっと入場者にかまわれていたのでだいぶ疲れており、だんだん機嫌が悪くなってきたとのこと。これでも結構大きいのだが、成長するとまだ大きくなるらしい。コアラにしても、ウォンバットにしても、ノタノタ動いて害のないのんびりした生物が生き残ってるのはオーストラリアに肉食獣がいなかったせいらしい。まあ、他の大陸では、こんなノンキな動物は、アッという間に絶滅するよなあ。

 ゴルフの後

ゴルフのほうはよいショットも出たが、とんでもないミスもあり。後半は暑さに負けてスコアは悪化。しかし汗も木陰に入るとスっと引くし、気候は快適。プレイ後のビールが美味い。夕暮れになってコース内を散歩すると、スプリンクラーがあちこちで水を撒いており実に涼しい。芝生そのものもオーストラリア原産ではなく、外国から持ち込まれたのだろうが、現地の植生の中に溶け込んで見事に生育している。

不思議なことに夜になるとカンガルーの群れは、いったいどこに帰るのか次々姿を消して行く。朝になるとまたどこからか現れてくるのであった。

 Busselton Jetty

「Jetty」とは桟橋ということだが、パースから南へおよそ2時間。Busseltonという町にある。100年以上も前からあって昔は遠浅の沖合いに係留された船からの荷物積み下ろしに使われたとのこと。現在ではこの小さな桟橋の上に観光客用に小さな蒸気機関車が走っている。

まあ、とはいえ鄙びた場所で、この桟橋以外にはほとんど見るものもなし。桟橋先端には室内から海底を見ることのできる施設があって海底リフトが設置されているのだが、事前予約が必要。料金も高いとあって先端まで行くのはやめにした。しかしやはり海がとても綺麗。

潮風を身体一杯に受けると、いつでもなんだか懐かしい気分になる。たとえそれがインド洋であっても。すべての生物が海から生まれたという原初の記憶を呼び起こすからだろうか。