MADE IN JAPAN! 過去ログ

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2006/09/09 ブラジル出張記

前の土曜日夕方からブラジル出張。機中泊2、サンパウロ泊2でアメリカ帰国するという慌しい日程。遊びに行くのならよいが仕事であるからして、これまた慌しかった。帰国してからも日本から大挙して出張者が来ているため、毎晩アテンドでこれまたバタバタ。日曜からは西海岸に出張。こちらに戻って来れるのは土曜日の予定。かなわんよなあ。

まあ、しかし、忘れぬうちに、初めて訪問したブラジルの印象など記録しておかなければ。左の写真は、ホテルから撮ったサンパウロ市内。遥か彼方まで、見渡す限りビルが林立している。ビルの熱帯雨林状態ですな。

(ブラジル到着まで)

土曜日に、日本からの出張者とゴルフをして、同じ日の夕方に発つという慌しい日程。涼しい風が吹く秋空の元でのゴルフはなかなか快適。プレイ後にゆっくり食事してたら結構な時間となり、慌てて部屋に戻り、シャワー浴びて最後の荷造り完了まで残された時間は40分。ドタバタしたが、なんとか出発。ホテルで件の出張者をピックアップして一路空港まで。

サンパウロ行きの便は、日本からの指示で出張者の予定に合わせて取ったのだが、マイアミでワンストップして乗り換えるという妙な接続。直行便だってあるというのに、人を疲れさす嫌がらせで選んだのかね。アメリカン航空には久々に乗ったが、Unitedよりもターミナルも綺麗、機材も心なしか立派な印象。FAの愛想もUnitedよりマシな気がする。というより、これが普通で、Unitedがあまりにひどいということなのかもしれないな。

マイアミ空港での乗り継ぎEターミナルは、リマ、サンチャゴ、サンパウロ行きなど南米行きばかり。スペイン語やポルトガル語が飛び交い、案内の放送も英語が後。すでにして南米の雰囲気。ダラスからの飛行機が1時間遅れてマイアミ出発は夜中の12時過ぎ。サンパウロ空港までおよそ8時間かかって朝に到着。エコノミー座席での機中泊は実に疲れた。

(通貨)

ブラジル訪問にはビザが必要なのだが、これもアメリカで取得済み。入国審査も特段何も問題なくスイスイ。ゲートを出ると、先方の駐在員が出迎えてくれた。一応ドルを現地通貨に両替。通貨はReal。英語読みではレアルだが、むこうの発音ではヘアル、複数形はへアイスと言ったか。1ドルが2.1レアル。BRICSの一角を占め、一応、南米では最大の経済国。経済発展に伴い、最近ブラジル通貨が強くなっている。しかし、市内に向かう道すがら、ブラジル滞在10年という駐在員氏にブラジル事情を伺うに、インフラ整備はまだまだ、極端な貧富の差、犯罪や治安などの問題も山積なのだという。

空港に着いた旅行者をそのまま車でつけてきて、ホールドアップする強盗もおり、以前、日本人が殺されたこともあるのだと。ポルトガル語ができればまだよいが、言葉が分からずに頑強な抵抗をすると、挙動不審と見られ撃たれる危険性も増すとか。サンパウロの街歩く時はカバン持たず、ドレスダウンしてというのが基本ですよと言うのだが、なんだか怖い話だよなあ。

というわけで、まだ到着したところまでなのだが、本日はここまで。

2006/09/10 ブラジル雑感その2

ブラジル出張の雑感を、引き続き順不同で。もうだいぶ忘れてきたなあ。

(Renaissance Sao Paulo)

 サンパウロで宿泊したのは、Renaissance Sao Paulo。市内、パウリスタという目抜き通りから1本入ったところ。Marriott系なのだが、超高層でなかなか部屋も立派。フロントに日本語分かる女性がいるところを見ると、日本人の出張者も多いのか。他の従業員はたいへん流暢な英語を話す。

部屋に入ると日本茶のセットと折り紙、日本語のウェルカムカードが置いてあり、テーブルにはサンパウロ発行の日本新聞「サンパウロ新聞」。TVをつけるとTVジャパンがデフォルトで日本語のNHKニュースが流れる。日本語の市内地図も置いてある。予約段階で日本人と分かってるからだろうが、それにしても、どこの国のホテルにいるのか不思議な気がする。予約すれば、ホテルのレストランで立派な和朝食もサービスされ、まさに至れり尽くせり。ホテルの外に一歩出ると英語が通じず、ポルトガル語一色の世界ということを別にすれば、アメリカのホテルよりも居心地よいかもしれない。

(Sao Paulo)

ブラジルの公用語は、ポルトガル語なのだが、サンパウロの、San(実際はaの上に~みたいなマークついてるが)は、英語で言うSaintなのだと。英語だと、「Saint Paul」にあたる。日本語だと、聖パウロか。大西洋を隔ててポルトガルから、はるばると宣教師が伝えたカトリックの信仰。南米はどこもカトリック国が多い。カトリックの世界伝教への努力というのも考えてみると凄まじいものがあるな。

(オフィスで仕事)

会計の責任者K氏は日系人で日本語をしゃべるのがありがたい。ポルトガル語では一言もコミュニケーションできないから。Thank Youは、オブリガート、これだけ覚えた。

会計記録も証憑書類も基本的にはポルトガル語だから、いちいち解説してもらわなくては理解できないのが隔靴掻痒。K氏の日本語も、移民何世か知らないが、単語がところどころ出て来ずに立ち往生する場合多し。こちらの日本語を聞く場合でも、途中でカタカナ英語が混じると混乱するようだ。「このバランスが」と言うと分からない。日中はずっとオフィスで仕事だったが、そんな訳でだいぶ効率悪し。

資産の棚卸しリストをもらうと、資産名がポルトガル語。しかしよく見ると、「これはコンピュータに違いない」とか、「これはサーバーだな」とか、IT関係用語はだいたい綴りで辛うじて類推できる。もっとも、棚とか絵画とか机とかの一般名詞については、ポルトガル語の綴りは英語とほとんど何の関係もないようだ。これがそうだと言われれば、「あ、そう」、と信じるしかない。まあ、資産番号だけが頼り。銀行との契約など原文見ても。これまたチンプンカンプン。なんとなく不安にかられる仕事なのであった。

(会計士)

監査法人から専門家を呼んで、移転価格の話など聞く。まあ、まだ調査が始まったばかりの段階で実際のリスクは少なかろうが、無視するわけにもゆかない。監査担当マネジャーはポルトガル人の女性。エル・グレコの絵を思い出すような、いかにもスペイン・ポルトガルの血を感じさせる風貌。ブラジルは、インディオ系、アフリカから奴隷として連れてきた黒人系、ヨーロッパから来た白人系が混血して、いったい何人種か分からないような人もたくさんいるメルティング・ポッド国家なのだが、明らかに白人純系のままという人もずいぶん見かけた。もちろん昔から移民してきた日系人も大勢。ただ、アメリカほど純粋な黒人を大勢見かけないのは、人種の混交の歴史がアメリカよりも古いからだろうか。ワールドカップでブラジルチーム見ても分かるが、民族的には実にDiversity(多様性)に富む国家だ。同じ南米でもアルゼンチンはほとんど白人国家。何が違いを生んだのだろうか。自分がいかに南米の歴史を知らないか痛感するなあ。

(BARBACOA本店)

日本では表参道に支店があり、何度か行ったが、サンパウロにあるここはその本店。現地法人社長にアテンドしてもらい、本場のシュラスコを賞味しに訪問。店のパンフレットを読むに、外国の支店は東京だけのよう。ブラジル駐在10年の駐在氏によると、こちらのシェラスコはもう少しガサガサしたところが多く、この「BARBACOA」本店はやはり高級店なのだそうである。青山の店は、本店をかなり忠実に模している。ウェイターも何名かブラジルから派遣しているのだと。

ただ、ブラジルのほうが、もっとうるさいほど頻繁に、ウェイターが串焼きの肉を席に持って来て、もっと食えと勧める。岩塩だけを荒っぽく擦り付けた肉の旨味も、やはり本場のほうが一味。ピッカーニャやらクッピンやら、駐在氏にあれこれ肉の部位の解説を受けながら。ブラジル人は切り分けられた肉でも更に好きな部分だけ食べ、残りは皿の端に積んでおくような贅沢な食い方をするとのこと。飲み物は、サトウキビ焼酎に砂糖とライムを入れ、氷と一緒にガシガシとクラッシュしたカクテル、カイペリーニャ。アルコール濃度も味も濃いのだが、これがシンプルな味付けの肉に実によく合う。運転しなくてもよいから調子に乗って飲みかつ食ってたら、満腹の酩酊状態に。いやはや。

さて、まだまだ書くことはあるのだが、本日は午後からまた出張。荷造りしなくてはいけないのでこのへんで。


2006/09/25 ブラジル雑感その3

ブラジル出張時の雑感その3。

(治安)

ブラジルは貧富の差が極端で、治安は大変よくないのだそうである。日本人がスーツ着て歩くのは襲ってくれと言ってるようなもの。PCが入ってるようなカバンを持って歩くのも、取ってくれと言わんばかりの行動。など、現地駐在員からはずいぶんと脅かされた(笑)。空港で獲物を物色して、金を持ってそうだとそのまま車で後をつけてきて、途中の道で仲間の車が道をふさぎホールドアップなどという例もあり、何年か前には抵抗した日本人出張者が撃たれたとか。やはりマシンガン持った奴に抵抗してはいかん。

ギャング団がマシンガンで武装して警察署を襲うことさえあり、全般的にブラジルの警官はあてにならないとのこと。真面目にやると殺されるからではないかと、まるで冗談のような話だが、これまた怖い話。事務所が入ってるビルの入り口や駐車場のゲートには、大柄でいかめしいガードマンが立っており、セキュリテイには結構気を使ってるのが分かる。

(サンパウロ気質)

ブラジルにも都市によって気質の違いがあり、リオデジャネイロ市民が陽気で歓楽的なのに対し、商工業都市サンパウロ市民はよく言えば勤勉、悪く言えば金儲けばかり考えている連中として、他の地域の住民からは嫌われているんだとか。リオの市民のことを「カリオカ」というらしいが。確かに、サンパウロは、南米一の経済規模を持つ大都会であり、裕福な層も多い。ただ、職を求めて地方から流入し、ホームレスのような暮らしになる層も深刻な問題だとか。林立する超高層ビルの間には、経済格差と貧困がもたらす深い影が横たわっている。


(ポルトガル語)

現地駐在員氏の流暢なポルトガル語を聞いていると、発音そのものは英語と比べて極端に日本語と違う印象がない。カタカナでも通用する気もして、日本人にも発音しやすいのではという印象を持った。もっとも、鼻に抜ける発音でなかなか難しいのがあるそうだ。スペイン語ともかなり共通な言葉があって基盤が同じらしい。日系企業でもいったん南米駐在になると、南米各国を次々に回る、いわゆる「南米専門家」になる例が多いとか。経済圏ではアメリカに近いのだが、言葉や文化の面では明らかにヨーロッパの影響を感じる。政治的にも、アメリカからは距離を置く姿勢が目立つと駐在員氏の解説。確かにアメリカ企業が進出しても、言葉の壁がなあ。

(コーヒー)

オフィスで出してくれるコーヒーは、いわゆるエスプレッソ。濃度があり、砂糖が最初から入っていてかなり甘い。ブラジルではそれが普通なのだそうで、こんなところもヨーロッパからの影響か。

(カイペリーニャ)

サトウキビから作ったブラジル焼酎のピンガ。それをクラッシュアイスに混ぜ、砂糖とライムを入れてガシガシと突き崩して作るカクテル。駐在員氏の言うのは、砂糖をごく少量にさせるのが日本人に合った飲み方なんだそうだが、砂糖無しではまた「カイペリーニャ」と呼ぶに値しないのだとか。最近、アメリカでも増えた、ブラジリアン・ステーキの店でもちゃんと置いてある。これがまたシュラスコによく合う。もっとも、駐在員氏に言わせると、ブラジルの海岸で美女見ながら飲むのが一番美味いカイペリーニャの飲み方だと。もっとも仕事での訪問だから海岸など行く機会なし。残念。まあ、まだ冬の終りだったしなあ。

(サンパウロの気候)

南半球では、冬が終わるか終わらないかというところ。朝晩は結構寒いと聞いて警戒したが、やや肌寒いものの、ちょうどアメリカ西海岸に似て快適な気候。夏場になるともっと暑いのだろうが。もっとも暑さになれている現地の人の中には、摂氏20度程度が実に寒く感じる人もいるしく、夜など、分厚いコートをはおって街を歩く人もいる。夏に行くと、多分もっと印象違うだろうなあ。